拝啓、僕が歩んだ日々へ (ページ9)

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☆ ページ9

「………俺が思うに、お前はまだ死んでない」

「……………………え？」

俺のその一言に、じたばたと暴れていた身体は動きを止めた

「お前はまだ生きている。その証拠に身体はまだあたたかいし脈もある。生命活動は止まってない」

「………それは、どういう」

ーーあくまで俺の想像なんだけど

そう前置いて話した

「多分Aはまだ仮死状態なんだと思う。二年前、何かあってそのまま植物状態で生きている可能性が高い」

「………その、植物状態になる前にここに来た……？」

「そう、多分危篤になったけど奇跡的に一命は取り留めた。でもお前はここにいる。つまりお前は、」

「……………生霊」

ようやく落ち着いて頭も回るようになったのか真っ直ぐな目で見つめられる

「だからお前は戻ろうと思えば身体に戻れるはずだろ」

「……そんな、どこに行けば戻れるのかも分からないのに」

「自分で言っただろ、本当に行きたいならすぐだって」

「………！」

「今までは自分が何だか分からなかったからどうすればいいのかも分からなかった。でも今なら、」

戻れるんだよ。

そう断言しても、彼女は頷かなかった

「………確かに、私は戻れるかもしれない。」

「でも、君は？」

馬鹿だよなお前
そんな顔で見るなよ

この結論に達したときから、俺は覚悟を決めてたのにさ

「俺はもう死んだ。その事実は変わらない。自力で亡者の星まで行くよ」

「君一人を残していくなんて、」

「ーー頼むから！」

「………っ」

「頼むから、格好つけさせてくれよ」

好きなやつの前でくらいはさ
大人で居させてくれよ

「………わたし、」

「戻りたいんだろ？」

「…………うん…………」

「なら行ってこい」

「ごめん、ごめんなさい、」

「いいよ別に」

「ーーー亡者の星で、待ってるから」

お前のためなら、永遠の時間なんて何でもない。

END