拝啓、僕が歩んだ日々へ (ページ5)

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☆ ページ5

死神になったのは二年前だったと思うよ。私の時間感覚が麻痺して無ければね。

案外最近？………まあそういう言い方もできるけど。
とにかく二年前に死神の私は誕生した
それ以前の記憶はない
そう、それは君と同じ。偶然だよねえ。
まあ私の場合はそれ以前ってものがそもそも無いのかもしれないんだけどね

最初は何が何だか分からなかったよ
だって何もないんだもの
君みたいに親切な死神に手取り足取り色々教えてもらえはしなかったしね
ただただ彷徨い続けていたら、死神と出会った
それで私は死神の仕事をしてるんだよ

それなら私が亡者の可能性もある？
私も最初はそう思ったよ
ああ、もしかして私死んだのかなって
でも私の前に死神は現れなかったし、自分の葬式なんてものも見ていない

ってことは、きっと私は死神になるべく突然この世に顕現したんだろうよ

君との共通項は記憶がないってことだけだし、残念ながら同族ではないだろうね

まあそんなこんなで二年間過ごしてきたよ
死神ってのは個人事業主みたいなものらしくてね、一回も仕事が回ってきたことはないんだけど
何とか自分で仕事を見つけて今までやってるって訳。

ほら、そんな面白いことなんて何も無いでしょう？
期待に添えなくて申し訳ないけどこんなもんだよ
誰もが波乱万丈な道のりを歩いてきた訳じゃないんだ

案外、君の人生も平平凡凡だったかもよ？

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