あにゅ ページ2
「ーーあんた、誰」
身も蓋もなくそう尋ねた俺もなかなかに礼儀を欠いていたが存外彼女は素直に答えてくれた
「やっとこっち見た。私?私はA」
そして口の端をにいっと吊り上げ笑顔を作る
「通りすがりの死神よ」
「…………………は?」
「は?じゃないでしょ他人に名前を聞いたら自分も名乗るべきじゃないの?」
ほらあんたは?と急かす声に混乱しつつ脳を回す
待て待ていや本当にちょっと待ってくれ
状況を整理しよう、いくら何でもそのまま飲み込むのは無理だ
「………お前、死神って言った?」
「言った言った」
「それはその、つまり、俺を殺したのはお前ってこと?」
「それが知りたいならまずは名乗りなさいよ」
困った
どうやら名乗らないことには話が前に進まないようだ
しかしいくら風貌が少女然としていようが相手は死神(自称)である
彼女が思春期特有のあの病気だという可能性も否定出来ないが仮にも死神に本名を明かしていいものなのか
「……………そらる」
「え?」
「だからそらる。俺の名前」
迷った末にあだ名を答える
どう考えても本名じゃないその名前に何か言われるかと思ったが彼女ーーAはあっさり頷いた
「そらる」
「うん、そらる」
噛み締めるように呟くAをよく見ると、彼女は思いの外幼い顔立ちをしていた
正確なところは分からないがまあ二十歳手前か、少なくとも俺よりは年下だろう
「……ほら、教えてくれよ。俺が死ぬように仕向けたのはお前?」
「君はもっと人の話を聞いた方がいいと思うよ」
「………どういうことだよ」
「言ったでしょ?私は通りすがりの死神だって。担当でもない人間の死因なんて知らないし関与しようにも出来ることじゃないし」
「……そもそも、死神の仕事はそんなことじゃないし」
ーー彼女が本物の死神かはやはり分からないが、その話を聞く価値はありそうだ
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ゆーき - エッ智春さん!?戻ってきてたんですか!?!?うわああああめっちゃ嬉しいです!(;_;)そして大好きな作者さんばかりなので毎回楽しく見させていただいてます◎これからも応援してます (2016年3月23日 18時) (レス) id: 675204a53d (このIDを非表示/違反報告)
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