ファン以上恋人未満。2

〇偽りの偶然 ページ25

〜菜々子side〜


今日皆はリハだから
私のお仕事は特になくて

メイク室でセットの練習したりして。


そろそろ帰ろうかなって、メイク道具部屋にしまいにいったら聞こえてきた


玲於「よっしゃ！！」


玲於の嬉しそうな声に皆のわちゃわちゃした声。


思わずドアの前で立ち止まって
聞き耳たてた。



.




やっぱり、きた。


メンディーくんの言ってたお店のあるビルに来てみれば


ロビーを歩く見慣れた後ろ姿見つけて


玲於「.....は、なんで、いんの」


声掛けたら、それはそれは嫌そうな顔した玲於。
わかりやすいなあほんと。笑


友達とここのバーで飲んでた、
なんて。もちろん嘘。


だってそんな偶然あるはずないでしょ？
偶然なんていとも簡単に作れるもの。


だからもちろん、酔ってもないんだけど...



酔ったフリしてよろけてる私を見た玲於は


狙い通り、タクシーまで連れていくって
私の肩にそのたくましい腕回してくれて。


...玲於のことだから、ほっとけないんだよね。私みたいな人。


でもねそういう中途半端な優しさって


本当に大切にしたい人のこと
傷つけるのよ？


思い知らせてあげる。



.




はちみつちゃんが私達のこと見つけたの確認して


玲於にキスした。


...あーあ、泣いちゃった。はちみつちゃん。笑
きっと今頃、私たちの関係
順調に勘違いしてくれてるはず。





玲於「...酔いすぎっすよ」


私を押し返した玲於は
口調は相変わらずだけど


顔は相当動揺してて。


可愛い、なんて不謹慎だけど思っちゃう。


菜々子「...ごめんなさい、私...つい」


玲於「...とにかく、気をつけて帰ってください。」


そう言われてタクシーに乗せられて。


その途端、私の顔なんて見もしないで
Uターンしてビルの中戻っていく玲於の背中見つめた。


ふふっ、玲於、間に合うかしら。笑


運転手に行き先伝えて
連絡先の中から白濱亜嵐の文字探して電話かける


あとは亜嵐くんに頑張ってもらわないとね。笑


亜嵐くんのことだし
きっとうまくやってくれるでしょ。


あー、明日が楽しみだなぁ。



タクシーの中で1人
笑いをこらえるのに必死だった。

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