第四話 ページ6
全ての学生に部屋が与えられる、所謂全寮制のこの学園では、大体相部屋だ。
仲には例外もいる。人といるのが極度に苦手、潔癖症、他人と違う種族……理由は様々。
あの子、エリザは……"王子たってのご命令"で、アレン様の隣の部屋となったらしい。さすがに男女を相部屋にすることはあってはならない。清く、正しく、凛々しく。それが貴族というものだから。
きっとこれは、よかったのだろう。少なくとも私はそう思う。
アレン様とエリザが結ばれる。邪魔な私の価値はなくなり、他の皆は二人を祝福して笑顔になる。
元々、自分がいなくなるかもしれないことはわかっていたのだ。ただそれに、最後まで付き添ってくれる人が本当にいなくなっただけで。
「……」
もう少しで出かかった言葉を呑みこむ。それを言ってはいけない。弱くなるのは早すぎる。
たった一人の部屋を見回す。机の上に広がった参考書や教科書。そういえば、エリザはとても頭がよかった。次に行われる定期テストでは、私は抜かれるだろう。才能のない私は、才能のある者の踏み台になるしかないのだ。
ドレッサーの引き出しの中にあるだろう、数々の装飾品。煌びやかで、豪奢で。魅力のない私を引き立ててくれる大事なものではあるけれど、装飾品を身につけなくとも輝く存在を見てしまった。
私は負ける。好きな人に振り向いてもらえないまま。理想にたどりつけないまま。夢を叶えないまま。
「……ああ、いけませんわ。こんな思考ばかりでは、お肌も傷ついてしまう」
早く寝よう、と私はベッドに寝そべる。
今頃二人は談笑しているのだろうか。恋人でも婚約者でもないのに、仲睦まじく。
消したい幻想は消えないまま、私を眠りに誘う。
流れた涙は知らないふりをした。
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ふう(プロフ) - 読ませて頂きました!!もうほんと途中胸痛かったけど、最後ハピエンで良かったです!!何か、自分をみてくれないって思ってたところがえりざ?ちゃんと夢主ちゃん似てるな、って思いました!!素晴らしかったです! (2019年9月13日 17時) (
レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真冬 | 作成日時：2018年1月19日 23時
