第三十三話 ページ35
翌日、学校に行くと、変な目で見られた。
なぜだか、いつも送られてくる悪意の視線が、今日は疑惑の視線に戻っていた。いったいなにがあったのだろうか。
小さな変化に、いちいち踊りながら喜ぶなんてことはしないけれど、少しばかり嬉しかった。肩の重荷が降ろされたような気持ちになった。
「御機嫌よう、皆様」
挨拶を返してくる人などいない。クラスの中では、私はもう嫌われ者の烙印を押されてて、アレン様だってここでは取り繕うように話しかけてくることはなくなった。
自分の席に行き、どうせ入っているのだろうと机の中を漁る。しかし、あったのはいつもと違って一枚の紙だった。
放課後
二つ隣の空き教室
書いてあったのはそれだけだった。こんな時に呼び出しなんて、ある程度要件はわかってしまうものだが。
どうやら生徒会に行くのは遅くなりそうだ、と考える。エリザにそのことを伝えなければ。
「ロワ様。私、放課後に急用ができましたので、今日はお一人で生徒会室に向かってくださる？」
「……あ、はい！ A様、わかりました！」
疲れているのだろうか。返答には少しばかり間があった。
では、とその場を離れたが、どうにもエリザの様子がおかしい。なにか、思いつめるような表情をしている。
更におかしいのは、アレン様だ。いつもならなにか困ったような雰囲気を感じただけでもエリザに近寄るのに、今日はそれがない。ただ、横目でエリザを見ているだけだ。
昨日、いったいなにがあったのだろうか。それを聞ける相手がいないことに肩を落とした。風の噂で聞くしかない。
「あら、今日はご登校なさったのね。てっきり転校したのかと思っていましたが」
「アピア様。ご心配なさらず、きっちり三年通うつもりでしてよ」
「そう。途中でその心が折れないことを祈りますわ」
相変わらず、アピア様は嫌味がすごい。お兄様たちと張り合えるかもしれない。馬鹿みたいなことをぼんやり思った。
そのまま授業は始まった。エリザは発表していたが、クラスメイトの視線はどこか嫌悪感が滲んでいた。私の発表には視線さえこなかったけれど。
ランチタイムも午後の授業も終え、とうとう放課後になった。エリザは一人で教室を出て行った。
私は空き教室に行った。まだあの手紙の差出人は来ていなかった。
10分ほど待っていたら、ガラッとドアが開く音がした。振り返って、そこに居たのは、
「貴方は……」
「御機嫌よう、ガルワ様」
あの、綺麗な黒髪の令嬢だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふう(プロフ) - 読ませて頂きました!!もうほんと途中胸痛かったけど、最後ハピエンで良かったです!!何か、自分をみてくれないって思ってたところがえりざ?ちゃんと夢主ちゃん似てるな、って思いました!!素晴らしかったです! (2019年9月13日 17時) (
レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真冬 | 作成日時：2018年1月19日 23時
