第十二話 ページ14
普通に話して、普通に教室に行く。彼女との会話は楽しかった。
彼女は必死になってあれやこれやを話してくれた。彼女はいい子だ。そう思うのも、両手の指を折り返した時点で数えるのをやめた。
「私、別の所に用事がありますの。貴方は教室に戻ってなさい」
「あ、はい! ガルワ様、その……」
ありがとうございました。
そう言ってお辞儀をし、彼女は教室に戻る。どうやらご友人と話してる途中に呼び出されたらしく、彼女のことを心配する声がいくつか聞こえてきた。
用事があるなんて、嘘だ。それに騙されるほど彼女は素直。私にはなかったソレを、彼女は無駄なく丁寧に無意識に使いこなせている。天性の、といえば少しおかしいが、まったく外れているわけでもないだろう。
エリザのことを考えると、頭が重くなって体が怠くなる。目蓋は開くことすら諦めるみたいに力がなく、心はモヤが絡みついて離れない。何も考えられないわけじゃないが、何かを考えたくなくなる。事実だけを認めてそれ以上詮索したくなくなる。気力をごっそり削り取られて、今の私は生きた屍のようだ、なんて馬鹿げたことを考える。
「……愛されなさい。愛されて愛されて、最後まで幸せなまま私の目に入らないところへ行ってしまえばいいのだわ」
「そう、その道に誰を連れていってもいいわ。アレン様も、ご友人も」
「そうして、私は最後まで孤独になったまま死ぬのよ」
世界はどう思うのだろう。孤独なまま生きる私を好むのか、幸せな彼女の幸福をまだ望むのか。
一か月後。その答えは出た。
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ふう(プロフ) - 読ませて頂きました!!もうほんと途中胸痛かったけど、最後ハピエンで良かったです!!何か、自分をみてくれないって思ってたところがえりざ?ちゃんと夢主ちゃん似てるな、って思いました!!素晴らしかったです! (2019年9月13日 17時) (レス) id: 98934c9ea5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真冬 | 作成日時:2018年1月19日 23時