【実況者】罪と罰と懺悔と償い【パロ】 (ページ6)

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「ごめんね」と前置きして、津和野君はぺらぺらと喋り始めた。

それは僕、氷岡日向について。

名前、誕生日、星座、血液型、身長、体重、家族構成、住所、電話番号、今までに関わった人々の名前、好きなゲームのタイトル、その他諸々の個人情報。

ぞっとした。

思わず後退ると、彼は「解った？」と笑った。

「何が……ですか」
「俺も人間を辞めた者だって事」
「＿＿!!」

人間を辞めた者＿＿異能者！

こくりと頷くと、津和野君はふうと溜息を吐いて座り込んだ。

「良かった……こんな所で同じ人に会えると思ってなかったから」

……同じ？

同じである筈が無い。

何せ僕は、人間を辞めたその日に、知らないまま家族を殺して＿＿

のうのうと、生きてるんだから。

「違うよ」

津和野君は言った。

「俺だって、のうのうと生きてる。同じだよ。確かに俺は氷岡君と違って、犠牲を出して人間を辞めた訳じゃない。けど＿＿」

津和野君は目を細め、口角を上げる。

どことなく哀しげな表情だった。

「けど、ある意味俺は、たくさんの人を殺して生きてきた。全てを知り、知り、知って、それを全て告げる事で、恩人に成りうる人を殺してきたんだ」

言って、津和野君は手を差し出した。

「でも氷岡君は、俺に殺される事は無かった。だからね、お願いがあるんだ」
「お願い？」

僕は言葉を反復した。

何のお願いなんだろう。

「……お、俺の＿＿」

それから何度も口をぱくぱくと開けたり閉じたりして、視線をあちらこちらに巡らせた後、はっきりと言った。

「俺の、友達に成って下さい！」

＿＿……え？

友達？

え、まさか彼、これを言う為に滅茶苦茶僕の個人情報を告げたり、僕をここに連れて来たりした？

……ふ。

「あはははっ！」
「え!?」

津和野君は驚愕したように僕の顔を見る。
「笑われるなんて心外だ」と言わんばかりの表情だ。

こんな必死のお願い、無駄には出来ないだろう？

「これからよろしく、津和野君」

津和野君はぱあっと顔を明るくしてから、少し考えて言った。

「氷岡日向、だから＿＿“P-P”とかどう？渾名」
「じゃあ津和野君は津和野蓮、だから＿＿“つわはす”。どう？」

独りじゃなくなった僕等は、笑い合った。

P-P＿＿その名を、深く噛み締めて。