【金カム】地獄の果てで会いましょう 2【尾形】 (ページ35)

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バーニャ 3 ページ35

「あんたら私を殺して刺青をひっぺがすのが目的だろう！さあ、誰が先に我慢できずにバーニャから飛び出すかな！？」

刺青の男がそう言うと、後ろから鯉登少尉が刺青の男にヴェニクで叩いた。それを皮切りとして、私以外の全員が一斉に刺青の男にヴェニクを叩きつける。

「全員同時に！来て欲しいッ！」

刺青の男は嬉しそうに言う。その異様な光景に、私は思わず後ずさった。

……なんだこれ。一体何を見させられているんだろう。

どう考えても異常な状況なのに、誰もおかしいと思わないのか。私が間違っているのだろうか、とさえ考えるようになってきた。
困惑する私だったが、ふと小屋の窓から外を見ると、エノノカちゃんとチカパシくんが“何か”に追われているようだった。

その“何か”は正気を失った杉元さんで、側にはクズリがいる。慌てて小屋の外に出る。その後ろから谷垣さんもついてきた。
慌てて彼らの姿を探すと、チカパシくんがクズリに襲われているところだった。危ない、と駆け寄ろうとしたとき、杉元さんが鎌を振り下ろす。しばらくそうして杉元さんと戦っていたクズリだが、再びチカパシくんへと狙いを定めた。

彼の手には、谷垣さんの村田銃が握られているが、重さのせいか覚束ない。クズリがだんだん迫ってきており、チカパシくんのことを庇おうと手を伸ばしたとき、谷垣さんが横からチカパシくんごと銃を支えるように抱えた。
そして乾いた音を鳴らしながら、弾丸はクズリの眉間へと打ち込むことに成功した。
それを見てほっとしたのもつかの間、今度は別の方向から叫び声が聞こえた。

「あなたとはケリをつけておきたい」

正気を失った杉元さんの元へ、刺青の男が歩み寄って行く。あまりにも恐ろしい形相で、殴り合いがまた始まってしまった。その激しい戦いに、私達は固唾を呑んで、誰一人として止めに入ることができない。

「どうしてそんなに怒りを抱えている？誰に怒っているんだ？何に怒っているんだ！」

刺青の男の拳が杉元さんの鳩尾にめり込む。しかし、杉元さんは止まらない。

「う…梅ちゃん。寅次…。アシ…アシリパさんｯ……」

何度も殴られてもなお立ち上がり続ける。

もう辞めて、これ以上続けたら死んでしまう。