【金カム】地獄の果てで会いましょう 2【尾形】 (ページ31)

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ミスター制御不能ページ31

「四人同時に殴って来て欲しいッ」
「舐めくさりおって！」

囚人の男の言葉通り、四人が一斉に殴りかかるが、刺青の男は返り討ちにしていた。その光景に、周りの観客たちが歓声を上げる。
刺青の男が満足そうな笑みを浮かべると、突然、刺青の男が倒れた。

「…え？」

何が起きたのか分からず皆、唖然とする。杉元さんが刺青の男の顔に蹴りを入れたのだ。
スチェンカは蹴りはありなのだろうか。
そう思っていると、観客のロシア人たちから批判するような声が上がった。

「杉元、どういうつもりだ…あだｯ！？」

谷垣さんが止めに入るが、そのまま杉元さんに殴られてしまう。

「あ！そうか杉元ッこれが貴様の『妙案』なんだな？」

鯉登少尉が何かに気付いたようにいうが、容赦なく殴られる。月島軍曹が冷静に「落ち着け杉元！」と静止の言葉をかけるが、それすらも耳に届かないようで、殴り飛ばしていた。
その時、賭けをしていた観客たちが、台無しにされたせいか、杉元さんへと一斉に襲いかかった。このままでは巻き込まれかねないと判断し、私は慌てて壁際に避難する。

「俺俺俺俺俺俺俺俺俺、俺が不死身の杉元だ！」

四方八方からくる観客たちを杉元さんは殴り飛ばしていく。いつの間にか、鯉登少尉や月島軍曹、谷垣さんも観客たちと殴り合いを始めており、会場内は大乱闘になっていた。

こんなことになるなんて……。

予想外すぎる展開に呆気に取られていると、観客の一人であろう男と目が合う。すると、その男はニヤリと笑ってこちらへ近づいてきた。
まずい…軍服を着ているから、きっと私のことを男だと勘違いをしているんだ……！どうしようかと考えているうちに、その男が私に向かって拳を振り上げた。

─────殴られる。

ぎゅっと目を瞑り覚悟を決める。しかし、いくら待っても衝撃がこない。恐る恐る目を開けると、そこには先程の男の振り上げられた腕を掴み、動きを止めている鯉登少尉の姿があった。

「鯉登少尉…！」
「大丈夫だったか？怪我はないな」

そう言って私を安心させるかのように微笑む。そして私が、無事だったことを確認すると、その男を殴り返した。