【金カム】地獄の果てで会いましょう 2【尾形】 (ページ27)

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ないしょ話 2 ページ27

私は、故郷や家族について鯉登少尉に話し始めた。父や母のこと(もちろん傷跡の話は避けた)。樺太に来る前、北海道でアシリパさんたちとどんな生活をしていたのか。

鯉登少尉はそれを興味深げに聞いていた。
一通りの話をすると、鯉登少尉は今度は自分の番だ、と彼の話を聞かせてくれた。彼の家のこと、家族のこと、士官学校時代のこと。どれもこれも初めて聞くものばかりで、とても面白かった。

「鯉登少尉殿は、さぞ良いご両親と、たくさんの人に愛されて育ったんでしょうね」

最初の印象こそは、あまり良いものではなかったが、今はもう違う。鯉登少尉の話を聞く度に、彼が真っ直ぐな心を持った人だということが伝わってきた。
彼が、私と違ってたくさん愛されて育ってきたという姿が想像できて、自然と笑みが溢れる。

すると、鯉登少尉は目を見開いて固まっていた。
そして、「うっ……」と言いながら胸を抑えたかと思うと、顔を抑え、椅子に座ったまま後ろに反り返った。

「え！？大丈夫ですか？どこか具合が悪いんじゃ……」
「ちご……。そげんこつではなか……」

心配になって駆け寄ると、鯉登少尉は耳まで真っ赤にしていた。本当にどうしたというのだ。

「無自覚か貴様ｯ…。天然か……。タチの悪い女め……ｯｯ」

ぶつくさと何か呟いているが、よく聞き取れない。

「鯉登少尉？どうかしましたか？」
「……なんでもない。気にするな」

本当に大丈夫だろうか。「でも……」と私が口を開くと、鯉登少尉は深呼吸をして、口を開く。

「大丈夫だ。……そろそろ私は失礼する。明日も早いからな」

そう言うと鯉登少尉は立ち上がり、部屋を出ていこうとする。

「今日は、お前の話がたくさん聞けてよかった。また機会があれば、その時はもっとゆっくり話しをしよう」

彼はそう言い残すと、足早に去って行った。……結局、何しに来たんだろう？首を傾げるが、考えてみてもよく分からなかった。まぁいいかと思い直し、私は就寝についたのであった。