【金カム】地獄の果てで会いましょう 2【尾形】 (ページ26)

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ないしょ話ページ26

確かにその通りかもしれない。これまで、お金の都合により、旅の道中で何度か尾形さんや杉元さんと一緒の部屋になることが多かったので、気づかなかった。その配慮が全然足りなかったことに申し訳なくなる。

しかしだからと言って、このまま廊下で話すというのも変な感じだ。

「……あぁ、そうですよね。すみません。でもここだと他の方に聞かれてしまうかもしれなくて……」
「い、いい。わかった。入ろう」

鯉登少尉は覚悟を決めたように部屋の扉を開ける。中に入ると、彼は後ろ手で扉を閉めた。立ちっぱなしなのも申し訳ないので、彼には椅子に座ってもらう。

「それで…話ってなんでしょうか」
「あ、ああ……。実は、お前のことを色々考えていたら眠れなくなってしまってな……」

そう言いながら、恥ずかしそうに頭を掻く鯉登少尉。思わず「へ？」と間抜けな声が出る。

「わ、私のことを…？」
「そうだ。杉元たちに、Aのことを聞いてみたんだ。好きな食べ物や故郷のことなんかを」

だが、分からないから本人に直接聞けと言われてしまった、と言う。
鯉登少尉は、私に向き直る。その瞳は、私を捉えて離さない。

「私は、Aのことが知りたい。もっと教えてくれないか」

そう言って鯉登少尉は微笑むと、私の手の甲をするりと
撫ぜた。
途端にぶわりと全身が熱くなり、心臓が大きく跳ね上がる。
まさか、あの時『お前のことが知りたい』といったのは本気だったのだろうか。そんなことを考えていると、鯉登少尉がずいっと距離を詰めてくる。

「……駄目か？」

至近距離で見つめられて、思わず顔が熱くなる。この人は、どうしてこんなにも積極的なんだろう。

「わ、分かりましたから…！近いです！」

私が慌てて答えると、鯉登少尉は嬉しそうな顔をして離れていく。全く、心臓に悪い。