【金カム】地獄の果てで会いましょう 2【尾形】 (ページ15)

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音と恩ページ15

私達はアイヌの集落に無事到着できた。

「臭い臭いｯｯ！何を塗っているのだ！？」
「熊の油は傷に良いのだそうです」

傷口に熊の油を塗られている鯉登少尉が、その独特の匂いに耐えられないのか、叫ぶ。かく言う私も、肩の傷口に塗りたくられている。

「助けてくれてありがとう、名前は？」

女の子がチカパシくんにそう尋ねる。チカパシくんは、笑顔で自分の名前とその由来を話した。女の子は、エノノカというらしい。

「北海道から来たアイヌの女の子もうちでフレップ食べた」

エノノカちゃんのその言葉に、杉元さんはアシリパさんの写真を見せる。すると、エノノカちゃんは頷いて肯定した。さらに、谷垣さんがキロランケさんの写真を見せる。彼らは「北へ向かう」と言っていたそうだ。

「女の子はどんな様子だった？元気だったか？」
「元気ない、とてもとても悲しそう。何も話さなかった」
「……そっか」
「でも…フレップの塩漬け出したら食べた」

アシリパさんや尾形さんの姿が脳裏に思い浮かぶ。きっとアシリパさんは、杉元さんや私が死んでいると思っているのだろう。
……私が生きていると知ったら、彼女や彼はどう思うだろうか。

「フレップいっぱい食べたらちょっと元気になった。ちょっと笑って"ヒンナ"って言ってた」
「アシリパさんだ……間違いなく、アシリパさんだぜ。やっぱり樺太に来ていたんだ…！」

喜びを隠せない杉元さんが、私に同意を求めるように視線を向ける。
私はそれに笑顔で頷いたのだった。