素直になれる場所。 ページ31
月イチのが来た
どこにも投げ出せない痛みが私をイラつかせる
その怒りを周りに巻き散らしたくなくて、部屋にこもった
別に寂しくはない
布団にくるまってしまえばこっちのもん
あとは痛みが引くまで寝るだけ
ひとりで我慢すればいいだけ
______
かちゃ、とドアが開いた
睡眠が浅くてそれだけで目が覚めた
「…誰?」
「あ、起こしちゃった?
ごめんね。」
私の大好きな声だった
透き通った優しい声
「A。」
気付けば求めていた
布団から手を出して、握ってくれ、と
言わずもがな、Aはそうしてくれた
Aは冷え症なはずなのに、暖かく感じた
きっと、安心感が熱を上回ってる
Aが居るってだけの安心感が
あぁ、私、寂しいんだ
強がってみたけれど
人肌が恋しいんだ
アンタ達の傍に今は居たいな
煩いぐらいの笑い声をBGMにしてさ
その中で寝ていたい
「あの、さ。」
「ん?」
ずっと手を握っててほしい
「…なんでもない。」
でも、言えないや
今日は3人で任務あるって聞いてたし
A達は優しいから、この我儘にきっと困ってしまう
そんなの嫌だから
我儘が零れちゃわないように口を結んだ
ふわっと何かが被せられた
目線を下げて、布団の上を見る
そこには3着の上着があった
「…これ、アンタ達の。」
「野薔薇さ、私達の事大好きでしょ?」
クスリと笑うAに視線を戻す
「会えないの、寂しいだろーなって思って。」
野薔薇の事はお見通しなのデス、と続けるA
「あとね、伝言も預かってるの。
帰ったらコンポタ作るからな、って。
体冷やさずに待ってろよ、って。」
私の全てを見透かした瞳が、どうにも嬉しくて
鼻の奥がジーンとする
なんだ、バレてんじゃん
じゃあ隠す必要ないよね
「Aの言う通り。
私、アンタ達の事大好きよ。」
「んふふ〜。」
「傍に居てほしいし。」
「うん。」
「寂しい思いさせないでほしい。」
「うん。」
「だから、早く帰って来て。」
Aの手を強く握れば、同じように握り返してくれた
「うん、そーするよ。」
「約束よ。」
「約束。
ちゃんと守るよ。」
「そうしてくれなきゃ困るわ。」
「ふふっ、そうだね。」
______
最後のやり取りが書きたかっただけ。
野薔薇ちゃんが、虎杖くんの死亡の時も生存の時も、涙我慢してるのがさ、強がりなんだなって、愛しいなって思った。
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ふーじ
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作者名:ふ。 | 作成日時:2021年2月13日 20時