10回クイズ×虎杖 ページ18
｢悠仁、悠仁。｣
Aが隣に座ってスマホをいじる虎杖に声をかける
虎杖はスマホを傍にあった机に置き、Aに向き直った
｢どしたー。｣
｢好きって10回言って。｣
10回クイズ？懐かしっ、と言い虎杖は指を折って回数を数え始めた
｢好き、好き____
好き！｣
｢んふふ、私も悠仁好き。｣
｢ふはっ。
そういうやつね！｣
｢そうなの〜。｣
悠仁ぎゅーして、なんて言ってAは虎杖に抱き着こうとする
けれど広げた腕を虎杖に掴まれ、出来なかった
｢俺、Aにちゃんとした"好き"が言いたい。
ぎゅーする前に言わせて！｣
｢……だめ。｣
｢なんで！？｣
Aはおずおずと虎杖に視線だけを向ける
虎杖と目が合ったけれど、ふいっと逸らして、なんかやだ、と小さく呟いた
｢ぎゅーしてからなら言って良いよ。｣
｢えー。俺はAの目、見て言いたい。｣
｢ぎゅーが先。｣
｢やだ、先に言わせて。｣
｢…悠仁、頑固。｣
｢Aもじゃん。｣
両者ともムッとした顔で見合う
｢なんでダメなん？
あ、誤魔化すの禁止ね。｣
｢…だって。｣
｢うん。｣
｢だって、むずむずするもん。｣
ぎゅっと胸辺りの服を握る
そして、じわりと耳と頬を赤く染める
本人も顔に熱が集中していくのがわかったようで、自分の唇を甘噛みしてもごもごさせた
｢(て、照れてる…！！
え、かわ、え？…かわい。)｣
悶える虎杖
Aを食べてしまいたい衝動に駆られるも、まだ真昼間なのを思い出し、なんとか堪えた
｢…俺の負け。
ぎゅーしよ。｣
｢んへへ。やったぁ。｣
掴まれていた腕が解放されるとAはそのまま虎杖の首にそれを回した
そして肩に顔を埋めてぐりぐりする
虎杖はAの背中を優しく撫でた
｢A。｣
｢ん〜？｣
Aは緩まった口元を隠す事なく呼ばれた方に顔を向ける
ちゅ、と甘い音がその場に小さく響いた
目を見開いたA
その大きな瞳を虎杖はまっすぐ見つめた
｢好きだよ、A。｣
目を細めて虎杖が微笑む
Aはぽけっとしていたが、やっと何をされたのかを理解すると胸元を握った
｢ははっ。
むずむず？｣
｢うん、むずむず。
ゆーじのせい。｣
｢そっか、そっかー。
ごめんなー。｣
｢謝る気ない。｣
｢あ、ばれた。｣
｢もうやだ。｣
｢何？俺の事嫌いになった？｣
｢…わかってるくせに。｣
再びAは顔を埋める
虎杖もAを大事に抱き締めた
｢(ほんと、可愛いなぁ。)｣
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作者名：ふ。 | 作成日時：2021年2月13日 20時
