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ー 『大学生ですか?』
夜、ベッドに横になってその通知に気づいた。
そうか、ネット上での身分を作らないと。
アイドルです、なんて言ったって信じないだろうしそんなこと言うつもりはサラサラなかった。
ー 「そうです」
嘘をつくのは決して気持ちいいことじゃないけど
こればかりは仕方ない。
少しの罪悪感を感じながら送信を押す。
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ー 『そうなんだ。何を勉強してるんですか?』
ー 「ビジネスをちょっと。あなたは?」
「フっ、ビジネスって笑笑」
そんなもの少しもわからないのに、口から出任せばかり打っていると笑いがこみあげてきた。
もしかしたらこの、ビジネスを学ぶごく普通の大学生という設定が俺の憧れなのかもしれない。
ー 『すごい。私はニートみたいなものです笑』
ー 『実は病気で…病院生活なんです。笑』
「え?」
顔が見えない分は勝手に想像していて、
相手のレイという子も俺の設定と同じような学生だと勝手に思い込んでいた。
ー 「病状は悪い?俺と話すのは負担じゃない?」
ー 『治る兆しはないみたいですけど…頑張ってるところです。全く問題ないですよ。むしろ、退屈なので嬉しいです笑』
俺はこんなお遊びみたいな感覚でやってるけど
いろんな人がいるんだな…
ー 「俺でよければいつでも話し相手になりますよ」
ー『優しいですね。ありがとうございます^^』
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ファンを身近に感じられるし、盲点に気づかせてくれた彼女と話すことはこれからの為にもなる。
なにより彼女の退屈な日々の、小さな楽しみになれるかな、なんて思ったりした。
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作者名:芙 | 作成日時:2019年2月18日 16時