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アリスの宝物II サリバン邸編6 ページ45

『パーティー中も』

ア「まあ、帰らんからな」

2人は夜

「入間様がいかに素晴らしいかを語る会」

を就寝前に開催している。

以前は夜通し開催だったが
日中の生活に支障が出たため、現在は制限時間が設けられている。


ちなみにこの会の間Aは徹底的聞き役で
ほぼ一言も声を発しない。


この、
実質「アリスによる入間ミュージカル」が
師団披露のための外泊で休演となる。

このことを聞かされたAの表情が先程から続くこれである。


ア「・・・もしかして夜話せないのが不満なのか?」


申し出にくそうな視線がアリスを見た。
恐らく肯定とみていいだろう。



ア「〜っ」



アリスは意味もなく右下にゆっくり顔を傾けた。

こういう挙動は彼女を不安にさせるとだんだん分かっては来た。

しかし、どうしても表情を隠したかった。



Aは以前、アリスの「入間語り」を

「入間の話」

としてではなく

「アリスの話」

として捉えていると言った。


それを聞いて生じた感情を言い表す事ができず
クラスメイトにまで揶揄われ、歯痒い思いをしたのだ。

感情の正体は未だ分からないが

今、自分が喜んでいるのは分かる。



アリスの長尺の入間語りをちゃんと聞く者はいない。

しかし、ここに聞きたいと申す者が現れたのだ。

だが今のこの喜びはそこではなく


【「入間を敬愛して止まないアリスの話」を聞きたいと思ってくれているのではないか】


憶測に過ぎないそこに
自分は喜んでいる気がした。


妙に照れ臭く、表情を制御できず顔を背けてしまったのだ。


予想通りAがオロオロし始める。

咳払いのフリをして口元を抑え、顔の向きを戻す。



ア「今晩は・・・少し長めに時間を取ろう

師団披露当日は直接、入間様もそれ以外も見聞きできる

それで我慢だ。いいな?」



問われるとAは、視線を少し上げて黙っている。


色んな考えを重りの様に天秤に乗せてはおろし
正に天秤にかけているのだろう。


アリスは今、それを笑いを堪えながら見ている。

ア(提示条件とこれ以上は我儘かを必死に考えていそうだな
手はかかるが妹というにはビオレやリリーたちに比べて随分控えめなことだ)


Aの脳内でどうやら釣り合いが取れたらしく
深く頷いて了承を示した。

それにまた笑いを飲み込む。


ア「んんっ、よし」


アリスは気づいていないが、この間Aを見ていた彼の目は随分優しいものに変わっていた。


スキ魔へ続く

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作者名:ジア | 作成日時:2022年6月30日 18時

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