バラムと念子II オペラ編6 ページ15
サリバンと入間は微笑みあい、ハグしながらゴロゴロしているとオペラがお昼を知らせに来た。
テーブルに着くと準備は万端だがオペラの姿はない。
サ「おや」
サリバンの分の銀食器の内
フォークが一本なかった。
イ「オペラさんいないですね」
サ「そうだね
大丈夫。いただこうか」
イ「うん、いただきまーす!おいしーい!」
入間の表情をサリバンが優しい目で見つめる。
そして、一本足りない食器も同様に見た。
サ(オペラも拗ねると相変わらずだな)
一方お昼の準備を終えたオペラは、畑の世話をし、草むしりをし、外でばかり過ごした。
すぐに終わってしまい、更に庭木の水撒きや剪定をして過ごす。
おやつどき前、Aの匂いが近づくのが分かった。
門に足早に近寄り姿を視認すると門を出る。
『あっ、オペラさん!
お土産っわ、あ?』
オペラは早歩きで真正面から近づくと両手の荷物をささっと取り上げ、何も言わずAを抱きしめた。
Aは急なことに体を硬直させる。
抱きしめられる直前一瞬見えた
整った顔の苦しそうな表情
不安になり発汗するのを感じる。
『オ、ペラさん?』
オ「おかえりなさい」
『は、い、ただいま』
真意は分からないが落ち着く香りと熱に包まれたAは、拒否する気は全く起きなかった。
オペラがゆっくり離れる。
ポーカーフェイスに小さな笑みを浮かべたいつもの表情になっていた。
Aの手を引き歩き出す。
オ「入りましょうか
理事長と入間様がお待ちですよ
お土産ご準備下さったんですか?楽しみです」
『あ、はいっ!オペラさんにはですね、』
オ「私専用があるのですか?」
2人は屋敷に入っていった。
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カルエゴは自室のサボテンの前に戻っていた。
スリッパの爪先に転がったジョウロがあたりピチャリと水音がたつ。
ジョウロを拾い上げ指を鳴らすと、床の水がはけていく。
裾が濡れたことに舌打ちしながらオペラに恨み節である。
カ(ヤツが私で遊ばず帰すとはな。
それよりAは誰と何をしているのか。
自分を含めた4名を除いた26名の中の
・・・憧れの誰かと)
もう一度舌打ちをした。
カ「気に食わんな」
カルエゴは窓から入る陽射しに目を細め呟いた。
こうして1人の少女の念願のデートは達成された。
しかし複数の大人を掻き乱すきっかけとなったのだった。
スキ魔に続く
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作者名:ジア | 作成日時:2022年6月30日 18時