はしゃいだバカが1番偉い。連載短編集 season21

ツムルに心配性なお客さん2 ページ36

『でも無理だよー！なんでウォルターパーク救う生徒育てるの！自慢の生徒なのナベリウスぅぅぅ』

カル「…思い出させるな」


今年はカルエゴが担任の問題児クラスが
遊園地ウォルターパークを救い
会見がテレビで流れ
バビルス入学希望者が例年より格段に増加。

従って受験倍率も跳ね上がった。


カル「自慢な訳あるか
なんならAも入るか」

『ナベリウスの力で入れてくれる？』

カル「いや…う、ぐ」

ダ「揺らぐな揺らぐな」



「そんな必要ないよ」



皆がツムルを見た。


「推薦制度を否定する気はないけど
実力で入っておいで」


『…できるかな』
「できる」


即答にAがきゅっと口端を引っ張った。

他の教師陣もニヤニヤ。


「あとちょっとだ
休憩もしてもいい
諦めずにやればできる」

『がんば、る』


まだどこか不安そうだが
これ以上困らせられないと
少女が健気に笑顔を見せた。

もう一押し背中を押せ、と
ツムルに視線が集まる。

自分でやれよ！と見返すも
視線の多数決で大敗。

本当は、この健気を飼い犬のようにわしゃわしゃ撫でて安心させてやりたい。


できない。恥ずかしすぎる。

イチョウが立ち上がり
ポンポンとAを撫でた。

微笑み合うが
少女の緊張の色は変わらない。


イチ(ほれ見ろ、俺じゃダメだ)

(控えめにやってるだけだろ！)

エイ(違うんだって)


カル(粛に！)


目線で喧しく会話する大人たちに
目線で一喝が入る。
改めてツムルに目線が集中した。


深呼吸で赤い髪束が上下した。


「頑張り続けられるか不安？」

『それも、ある』

「受かるのが目的だっけ？」

『？』

「バビルス入って、勉強して、家の仕事もっとできるようにとか…楽しい学生生活…」

『そっか…受験の先に目標あると頑張れるかな』


道は開けてきたが歯切れが悪い。







幼い頃の夢は、とても強い思い。

それでも忘れず描き続けることは
大人じゃなくとも困難かと
教師陣がしんみり感じる。

Aには原動力があったはず。


「〜っ




俺に毎日会いに来るんだろ！」




『・・・』

「・・・」

『来る…

来るよ！毎日おはようもまた明日ねも言うの！』


全員のニヤニヤもピーク。


「っ分かったら帰」
『帰る！勉強する！また明日ね！』
「は？」


カバンを引っ掴んですっ飛んでいった。


「…


廊下…走るなよ」


イチ「ぐ、くふっ…聞こえてないって」


一応みんな気遣って静かに笑った。



緊張の？合格発表へ続く

学校でもキスしたい彼ら　ロビン編【1周年記念　過去のしてみたやってないキャラで】→←ツムルに心配性なお客さん

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す