乱れ乱れて散る桜 参

107. ページ21

キャプテンカツーラと話していると病室の扉が開いた。

ガタッと立ち上がった小太郎だったけれど、入ってきた人を見て座り直した。



「ん？……おんし、ヅラか！」

「ヅラじゃない桂だ！……はあ、脅かすな。坂本」



かなり前に帰った辰馬くんが小包を持って、本日二度目の入室をした。


「なんじゃあ？扉を開けただけで脅かされるとは、そんなに臆病だったか？」

「違う。外に真選組がいただろう、ヤツらかと思ったんだ」

「おお！そうかそうか……お、それよりも！これをAさんに渡しに来たんじゃった！」


小包を渡され、開けるように促される。

中身が分からないから傷をつけないように、丁寧に包装紙を開いていく。




「わあ！素敵……」



中からは赤い玉のついた簪が出てきた。

思わず辰馬くんを見上げると、サングラス越しでも分かるくらいニッコリしていた。


「それを渡すために来たんですが、最初は船に忘れてきてしまって。次はいつ地球に戻ってくるか分からんので渡さないとと思うて」

「ありがとう、辰馬くん……もう少し時間があるならお茶でもどう？」

「それならお言葉に甘えさせてもらおうかのう」


お茶の葉の缶を開けると中身がなくて、しまった……と思った。



「下の売店にありましたよね。買ってきますね」



立ち上がった小太郎に声をかけようとするも、気付いたらもう廊下に出てしまった。

108.→←106.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す