06 珍客 ページ7
ーーお昼時。
やっと抜けたラッシュの時間にほっと息をついたのも束の間。
ーー「此処か?近藤さんが言ってた飯屋ってのは」
ーー「そうでさァ」
「いらっしゃーー…あっ!」
突然現れたお客さんに思わず目を丸くしていると、そのお客さんの内一人の男性ーー沖田さんも此方に気がついたようで、「何でィ。誰かと思えば根暗娘じゃねーかィ」と声をかけてくれた。
「ひ、土方さんに沖田さん…!」
まさかの二人の登場に驚いていると「近藤さんに聞いたんでさァ。うまい定食屋があるって」と言う沖田さんに続けて「そしたらお前がたまたま働いてたってワケだ」と土方さん。
「そうだったんですね…」
有り難い事に、この間近藤さんが来てくれた時にお店の宣伝をしてくれていたらしい。
「あっ、こちらへどうぞ!」
幾ら忙しい時間を抜けたからと言って、お客さんを待たせてはいけない。慌てて席へ案内すると二人は黙って席へと着いた。
「ご注文はお決まりですか?」
一度厨房に戻りお冷を運んだ次いでに尋ねると土方さんがマヨネーズとライス大盛りを注文されたので、
「えっ…?マヨネーズ、ですか?」
「そうだ」
聞き間違いじゃないかと思わず聞き返してしまったが、当の本人は大真面目だ。
「あの…それってこちらでかけた方がいいですか?それとも…」
「とりあえず一本丸々頼む」
「あ、はい。沖田さんは…」
どうやら土方さんは変わった味覚を持っているらしい。もしかして真選組の方はそうなのかと思ったが沖田さんは生姜焼き定食を頼まれたので少し安心してしまった。
「お待たせしました」
料理が出来上がりーー土方さんのはご飯をよそっただけだがーー二人の席へと運んだその瞬間。
「…えっ」
土方さんがマヨネーズを一本丸々ご飯へとぶちまけだしたので衝撃のあまり言葉を失ってしまった。
当の土方さんはご満悦な様子でその丼…というかマヨネーズしかないものを口の中にドンドンかき込んで行く。
対する沖田さんは、もうその光景に慣れているのか普通に定食を召し上がってーー「すげーや土方さん。俺さっきまで腹減ってたのに一瞬で腹いっぱいになりやした」ーーやっぱりそうでもないらしい。
「…ふぅ」
私が衝撃を受けている間に土方さんはもう平らげている。
「灰皿あるか」
「あっ、はい!」
ハッと我に返り手渡すとそれを受け取った土方さんがタバコに火をつけながら「何だ?顔色悪ィぞ。ちゃんと休めてんのか」と言う。
237人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソラ - ぽちゃさん» ぽちゃ様、はじめまして!コメントありがとうございます!そう言って貰えてとても嬉しいです。これからもぽちゃ様に楽しんでいただけるよう、頑張って作成していきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします! (2021年7月11日 0時) (レス) id: 7df1aede10 (このIDを非表示/違反報告)
ぽちゃ - はじめまして!とても楽しく読ませていただいてます!もう好みの小説すぎてやばいです!笑笑これからも応援してます! (2021年6月29日 13時) (レス) id: fffe7db0be (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - あう!さん» コメントありがとうございます!なかなか更新が出来ず申し訳ないです汗 必ず完結させたいと思ってますので、これからもよろしくお願いします! (2021年6月25日 1時) (レス) id: 7df1aede10 (このIDを非表示/違反報告)
あう! - ぜったい完結して欲しい楽しみにしてます (2021年6月12日 13時) (レス) id: 158b42c9c3 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 由岐さん» コメントありがとうございます!一気読みって…!凄く嬉しいですありがとうございます!更新が遅れてしまい、申し訳ありません! (2021年3月4日 3時) (レス) id: bc2235ffe1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ソラ | 作成日時:2020年12月31日 16時