1番ブースの恋【Yuto T】

Story 19 ページ19

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「佐藤さん、」


『ん？』




放課後、帰る準備をしていると那須くんが声を掛けてくる。


那須くんって、一回話すと結構話しかけてくれるタイプ？




「今日、塾あるの？」


『いや、無いけど』



私が通ってるのは週一回、龍我ちゃんも通ってるし、週に何回も通えるほど裕福な家庭じゃない、一般家庭だ。


それに、金曜日は優斗先生がいないことを知ってるから、自習もしに行こうとは思わないしね！




「そうなんだ、じゃあ一緒に帰らない？」


『いいけど、那須くん部活は？』




確か、那須くんは野球部……優斗先生と同じだ。


ダメダメ、全部優斗先生に繋げるのはさすがにやめよう、気持ち悪い。




「今日、グラウンド整備で」


『なるほど、確かに今日声聞こえてこないね』


「……で、どう？」




私の表情を窺うように首を傾げて、じっと見つめられる。

……なんだ、これ。




『うん、いいよ、てか那須くんな割と近所なんだっけ？うちの龍我ちゃんがよくお世話になっております』


「龍我とよく遊ぶから、……その時、結構佐藤さんの話聞いてる」




龍我ちゃんのことは、龍我で、姉の私のことは佐藤さん、て変な感じ。


そもそも、被る苗字だから佐藤って呼ばれることなかなかないしね。




『じゃ、那須くん帰ろ？…てかさ、佐藤さんって変な感じだから辞めてよ』




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