＊８６話 ページ7
戻ってきました、宝物庫。
とりあえず神輿は保留にしようと思う。
「おお!」
私は獅子舞を見つけた。
「取れるかな……」
取れないだろうな、これは。
「うおっ!!??」
滑った!!今滑ったよ!!
「お前…全く懲りない奴だな…」
落ちたと思ったのに落ちてなかった。
「何度言えばわかるのだ」
何度言われても理解はしないね。
目的があるわけだし??
「実のない祭事などしたところで人など寄りつかんと言ってるだろう!!」
意地悪はダメだせ、巴衛よ。
「意地悪言わないで…あれ取ってよ」
あと降ろして。
高いのは苦手なんだ。
「昨日今日 参拝者が消えたわけでもない。お前が来る前から社はこんな状態なのだ。土地神になったからといってお前が気に病むことはない」
巴衛はそう言うけどさ、私には目的があるんだよ。
「私は…巴衛がいつもきれいにする手水屋を参拝者に使ってほしい」
巴衛の頑張ってることを知ってほしい。
「拝殿には埃ひとつ落ちてないしお賽銭箱にはゴミなんて入ってないの」
それはここに来て最初に気づいたこと。
「鈴はとてもいい音がする。そういうのを皆に知って欲しいだけ」
私はいい音のする鈴が大好きなんだ。
だから、気味の悪い廃神社なんて 言われたくない。
「だから……いい加減降ろしてよ。鈍いなぁ…」
私は巴衛に降ろしてもらった。
獅子舞が重かった。
「…お前にはこれが良かろう…」
巴衛が取り出したのは、綺麗な着物だった。
「神楽で使われていた着物だ」
「おお…!」
女の子なら誰でも憧れる着物……!!
「巫女が着ていたものだがな」
この神社にも巫女がいたのね。
「…よくわからんが、こういうものの方が お前には向いていよう」
よくわからんってなんだ。
「服の上からでもよい。着てみるか?」
「着てみたい!!」
私はその綺麗な着物を巴衛に着せてもらった。
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