＊１１１話 ページ31
教室に入ると、天使が抱き付いてきた。
「あみちゃん、どうしたの?」
「ででで出たの…!!妖怪が!」
まじで?
「朝誰もいない教室の天井に黒い影がへばりついてて気付いたら消えてたの」
闇に消えたってことか。
「どうしよう!私、もう怖くてトイレに行けない!」
「バカだなぁ。そんなの目の錯覚だって。妖怪とかいねーよ」
妖怪ならいますよー、すごく近くに。
「確かに見たんだもん!」
「大丈夫だよ、あみちゃん」
自信はなくてもせめて安心だけはさせてあげたい。
「大丈夫。あみちゃんの事もケイちゃんの事も心配ないよ」
私が安心だけはさせてあげよう。
それが私に出来る事なのだから。
「あほくさ。そんなもん効くわけないわ」
「その証拠は?確信もないのに言うのはただの冗談にしか聞こえないわ」
にっこり笑顔で私は告げる。
「で、何の用?」
「あんたなんかに用ない。うちが用あんのは…巴衛」
は?巴衛に用があるってまさか…。
こここ告白!?
「私も行く。別に聞くだけなら問題ないでしょ?」
ただの口実だけど。
やって参りました、学校の中庭!
「昨日はなんとか凌げたけどまき散らした土蜘蛛の体液から闇が広がってしもてる」
なんだ、あの後に闇が広がってしまったのか。
「なるほどな…」
「闇は異界への出入口。はよ塞がんと大変なことになる」
異界への出入口ね…。
「…浄化すれば問題ないんじゃないの?」
「あんたはアテにできん」
わかってるけど腹立つなその言葉は。
「うちがやってあげてもいい。あんたがうちの下につくならな」
なんで、そこまで巴衛にこだわるの?
「…キスしたからって巴衛に命令できるなんて思わないで」
「何の話?」
むむむ…。
「神使の本分はただひとつ。主人に従うことだけだ。他のことなど知るか。もちろん主人が俺に【頼む】なら話は別だが」
「頼まないよ。それが土地神の仕事なら浄化やってみる!」
それが土地神の役目ならば。
私が“あの子”の代わりに頑張ろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
