＊９３話 ページ14
目が覚めたら今日は、“あの日”の続きだった。
「大変 聞いて!!」
ﾄﾞﾀﾊﾞﾀと社に戻った私は瑞希に話しかけていた。
「私の理想ってやばいみたい!どうしよ!?」
「……聖華ちゃん、どこ行ってたの。捜してたんだよ」
夢の中と同じ言葉言ってるし!
「聖華!!」
この声は……
「こんな時間までどこに行っていたのだ――!!」
いつも通りの巴衛の声だ。
「ぐふっ!」
痛いけどこれが日常。
「本物の巴衛だ…」
「当たり前だ。俺の偽物がどこにいる」
どこって夢の世界にいたんだけど。
「あと二週間で九番まで覚えねばならんのに…!」
覚えてます、九番までちゃんと。
「…なんだ?」
「ううん、今日も鳥居がよく見えるなぁって」
私はこの巴衛がいい。
「聖華さま…いつの間に九番まで振り付けを…」
「ん?夢の中で」
＊
練習の曖昧に、チラシ配りを頑張ってます。
「ミカゲ社でお祭開催?」
「ミカゲ社なんてあったっけ?」
てめ、殴るぞ。
「あるよ、ミカゲ社」
でも笑顔のまま。
怖がらせたら無意味になる。
「祭って何やんだよ?」
お前らからお金を奪うのさ。
ﾊｲ、私は悪役ではありませぬ。
「うむ 祭というのは本来 神を祀る儀式のことだが今回は神自身がお前達との結びつきを望んでいる挨拶祭といったところだな…」
子供にわかりやすい説明をしようぜ巴衛。
「花火とか見れんの?」
花火大会じゃねーよ。
「俺 綿菓子食いたい」
我が儘言ってんじゃねーよ。
「金魚釣りしたーい」
金魚すくいな。
「覆面ライダー来る?」
来ねーよ。
「くじの景品にPS４入れてよ」
自分で買えよ、糞餓鬼。
「お祭でおもちゃが当たっても偽物なんだって知ってて言ってるのかなぁ?」
表情は笑顔のまま、しかし言葉は嫌味で。
「お祭は神様のためにやる儀式であって君達の欲望のためにするんじゃないの。景品が全てじゃないの」
ここで敢えてﾄﾞﾝ底に落とす。
「でもね、お姉ちゃんに勝てたら何でもあげちゃうよ」
あげないけどな。
「まじで!?」
「本当だよ〜」
私は餓鬼には負けぬよ。
「でも行かねー」
殺してもいい?
ねぇ殺してもいい?
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