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＊９１話 ページ12
―――ﾄﾞｫﾝﾄﾞｫﾝ
と社に響いている太鼓の音。
視線が気になる。
「聖華」
「うぇい!?」
おっと変な声が出ちまったぜ。
「今のところもう少し膝を折っ…」
「おおお折るね、OKOK」
近い。
「顔を上げる」
「おおおOK」
近い。
「もっとゆっくり」
「ら、ラジャー」
とにかく近い。
ご存知?
巴衛がｲｹﾒﾝだってこと。
「……もういい」
あ、怒らせちまった。
「えと、ごめん。あまりにも巴衛が近かったからさ…」
この空気って昔から苦手だ。
「折角 練習つき合ってもらってるのに」
「全くだ。俺ばかりがお前を見ている…」
んんん?いじけてる?
それっていじけてる?
「…巴衛ばかりじゃないんだけど」
私だって巴衛のことずっと見てた。
でも気の迷いって言ったのは巴衛なのに。
だめだめ!ﾏｲﾅｽに考えないって決めたでしょ!
私の悪い癖だ。
「最近 巴衛君変じゃない?」
「えﾞなんで?」
確かに巴衛は変だ。
「聖華ちゃんのこと始終見てるよ。好きな娘でも見るような目でさ」
「馬鹿なこと言わないでよ」
そんなの有り得ない。
だって偽物だもん。
本物の巴衛に限ってそんなこと有り得ない。
絶対に有り得ないのだから。
「私はフラれてるんだよ」
振ったけど後から好きになるって話はいくらでもある。
けどこれは別の話だ。
確かに恋愛漫画だけど。
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