白銀の運命 (ページ23)

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22story ページ23

「ちょ、じい様！？」

ゆきもびっくりしていた。

きっと、このことを知らなかったのだろう。

「ゆき。お前にももう話しただろう？」

「それとこれとはまた別で…！！」

「同じじゃよ。」

「ゆき。春斗さんと、しっかり話をしなさい。」

そういうと長老は、深い森の奥へ行ってしまった。

溶け込むように。

狐の姿で。

「…」

「…」

少しの間、沈黙。

そして、どちらともなく言った。

「行こっか。」

「うん。」

．

二人が来たのは、出会いの場所。

あの日の。

朝日を見た広場だ。

「覚えてる？私達、ここで初めて会ったんだよね。」

「うん。覚えてるよ。びっくりしたよｗ目の前に、狐がいるから。」

二人とも、笑って会話している。

でも。

笑ってはいるが、どこか

不安そうな目をしていた。

本当に笑えてるだろうか？なんて思っているのか。

「ねぇ春斗君。

私ね。春斗君と一緒に言った、遊園地、すごい楽しかった。」

「俺も。」

「二人で他愛もない会話をするのも、楽しかった。」

「俺も。」

「ねぇ。」

サァァァァァ…＿＿＿＿＿＿＿＿

辺りに風が吹く。

「私たち、離れなきゃだめなのかな…。」

そんなはずない。

春斗はそう言いたかった。

伝えたかった。

だけど…

言えなかった。

そもそも、春斗には、なんでゆきと離れないといけないのかが、イマイチよくわかっていなかった。