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「おい集まってくれ〜」
それでも何とか仕事をこなし
何も問題なく時計の針は進み続け
気づけば定時間際。
今日、自分に課したノルマは
もう達成した頃。
部長から声が掛かって
フロアにいる全社員が部長デスクの前に集まる。
「1週間後から新しいプロジェクトが始まる。
これは会社の未来をかけた戦いになるだろう。
メンバーに選ばれた社員は心してかかってくれ」
部長の口から発せられたのは
新たな大プロジェクトの始動。
みんな仕事熱心だから
すごく熱い目をしている。
でも子持ちの私はどこか他人行儀に捉えていた。
だって、プロジェクトなんて基本参加しないし。
……
「Aはサブリーダーな」
「……え？」
メンバーにすら選ばれないと思っていた。
自分に与えられた役職に驚きを隠せなかった。
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「母ちゃん！ ただいま〜！」
プロジェクトのことを引きずって
半ば放心状態のまま保育園に行くと
そんな私のことは露知らず、
大貴は私に思いきり抱きついてきた。
「わっ、ちょ……！」
6歳の男の子の力は意外にも強くて
思わず後ろに倒れそうになるのを何とか踏ん張る。
「大貴くん！ そんなに強い力で抱きついたら
ママがけがしちゃうよ！ だめ！」
そんな姿を見て、おませ口調で
大貴にお説教したのは、
「うっ、ひなちゃん……」
ヤマダさんの娘、ひなちゃん。
ひなちゃんに怒られシュンとする大貴が
面白くて、つい笑ってしまいそうになる。
「こーら、ひな！
お友達に怒らないの！」
でも、そんな気持ちは一瞬で吹き飛んで。
そんなひなちゃんへ向けられた
お叱りの言葉に背筋がピンとなる。
『ひな』と呼ぶ声は、ヤマダさんのものではなく。
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作者名：めもり | 作成日時：2021年11月21日 21時
