先生と兎3 ページ22
目を覚ますと、辺りは一変していた。土方さんがかろうじて動く通信機で誰かと連絡をとっていた。
｢銀ちゃんと先生がいないアル……うわっ！？｣
瓦礫がとある1点で弾けた。
瓦礫の下から珍しく不機嫌そうな先生が出てきた。
｢先生……？どしたネ｣
｢神楽ちゃん……瓦礫は当たってませんか？
虚がアルタナを放出してくれたおかげで頗る体調が良い……なるほど、今なら何でも出来る気がします｣
｢私は大丈夫アル。そんな弱くないヨ｣
皮肉な言葉に僕らは何も返せなかった。
｢アルタナを放出すれば先程私がやったようにこの瓦礫も吹き飛ぶのですが……君達には毒のようなので｣
煙の向こうから、足音が2つ聞こえた。神威さんが銀さんを支えて出てきたのだった。
とは言っても神威さんは銀さんを助けた訳ではなく、1度獲物を取られた虚に借りを返しただけだった。
｢アルタナの暴走食らった方がマシだった気がする……｣
｢俺が本気だったら死んでたよ。俺も本気じゃなかったら死んでたよ｣
神威さんはにこにこ笑ったまま今度は先生に近づき、傷1つないその身体をまじまじと見つめた。
｢ふ〜ん。ホントにスグ治しちゃうんだ。ますます戦いたくなったよ。死ななくて良かった。俺もアンタも｣
｢私がこれで死んでたら虚も死んでますよ……一戦は遠慮しておきます。銀時とどうぞ｣
｢何で俺！？｣
その後真選組や第七師団と合流した。源外さんも無事だった。
しかしそこで今の江戸が完全に無防備であることが発覚した。敵艦隊に攻め込まれたら、止める手立てはなかった。
｢負けを認めてねェのはここにいる奴らだけなのかもな……｣
阿伏兎さんがそう呟いたとき、作動していた通信機から声がした。
｢
｢……どこの誰だか知らねェがご苦労さん。だが俺達の護ろうとしたもんは何1つ傷ついちゃいねェよ。勲章貰うにゃ早すぎらァ
そっちはどうだ、まさかその程度で燃え尽きちゃいめェな、ガラクタになっちゃいめェな｣
｢あぁ……首洗って待ってな｣
銀さんはどこか安心したような、落ち着いた顔だった。
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作者名：風寧 | 作成日時：2019年10月13日 2時
