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A「………。」
見渡す限りの草原にきて、目を閉じる。頬を撫ぜる風が心地よくって。
こうやって意識に集中すると、どこか遠くに何か懐かしい存在を感じた。確信はないのに、それがあの子だと断言できる。
(でも遠い…いや、なにかに邪魔されてるって言うのが正しいな。そんなことある？新手のイジメ？？)
第一、それは魔力とは何かが違う気がした。
南の魔法使いたちからは全く違う感じの力を感じるのだ。あれがきっと魔力だ。同時に、自分の中になにかの存在…魔力を感じる。それは静かに、しかし荒々しく、確かに灯っている。
あーあ、私、
A「本当に、人間辞めたんだな…」
「ねぇ、それどういうこと？」
A「ッ…！？」
突如、倒れそうなほど強い風が吹き荒れた。
A「エッ日野聡？」
(アッそれ中の人やん。)
思わず目を閉じる。砂が肌に当たって痛い。
弱まった風に、薄らと目を開けると空に何かが浮いていた。
オーエン「ねぇ、君は今までどうやって生きてきたの？今何を思っているの？…ねぇ、君の話を教えて。」
A「ﾜｧ」
一番会いたくない御方がいた。
A「あー、そのー……………………記憶ないんで無理です。」
オーエン「ふーん」
いや、ふーんて。
A「どうしてこんな辺鄙な場所へ？」
オーエン「へぇ、僕がわざわざここまで来たってわかるんだ？」
A「」
どうしようか。目の前の美形を見つめる。試すかのように、深紅と黄金の双眸がこちらを訝しげに見つめ返した。
こんなモブ1人がなんだという話だが、万が一にでも下手なことを言って興味を持たれるのも怖い。Aというトリップ少女は、酷く臆病で慎重な性格だった。
意を決し、口を開く。
A「私、長話とか好きじゃないからさ。あなたがどんな経緯と事情でここに来たかなんて説明されても困るけど。」
オーエン「あれは…僕が食後のデザートにと北の国の外れにある店を襲っていたときのことだよ。」
(うわ、チョロ。)
思わずツッコミそうになった私の心境なんぞは露知らず、彼はその灰かむり色の髪を揺らして、嬉しそうに目を細める。
オーエン「こっちの方からすごく嫌な魔力が流れてきたんだ。一瞬だったけれど、本当に嫌な感じがした。
そう、まるで全身を百匹のムカデが這い回るみたいに。」
ご丁寧な解説アザス。
続く (更新停止中)
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作成日時：2022年11月27日 15時
