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天の海をゆく白鯨のありて ページ34






「組合を倒せる情報が手に入ったって本当ですか!」




敦くんが凄い勢いで社に入ってくる。因みに云うと、業務開始時間は40分後だ。



『おはよう、敦くん。今奥で作戦立案中だよ。一緒に行こうか』

「はい!」




++++




「〜〜だと?」

「無理。地上戦になって痛み分け延長戦。」

「あぁ……となると敦君か。」

「ふぅん、ま、“細雪”を使えば悪くない」

「ですね……では潜入手段は?」

「それこそ特務課だな」

「すぐ掛かります。最後は山?」

「海だ」

「了解」




意味のわからないような話が目の前で飛び交い、さらに敦くんには太宰さんの折った紙飛行機もこつん、と直撃し、さっきまで潤っていた敦くんの目が一気に干からびた気がする。




「あ!香里〜!このドーナツ不味かったから食べて〜」



乱歩さんが私に食べかけのドーナツを差し出してくる



『じゃああとで私が買ったの渡しますね〜』



パクり、と私はそのドーナツを食べる……うん、独特な味だ。







……ところで特務課への協力依頼、“すぐ掛かります”って云っていたけど特務課、そんなに突っ込んでいっていい機関だっけ……あ、そうか。



坂口さんが居る。太宰さんの旧友で、太宰さんの四年前の罪を消した人。



彼は確か太宰さんが骨折した事故で緩衝嚢(エアバッグ)が開かず、重症と聞いた。




確かに、晶子さんを使えば無傷となるけど__________






ああ、そろそろ時間だな。




『谷崎くん、敦くん、行こうか。___特務課へ。』




「はい!」
「わ、判りました!」




私たちは特務課のある図書館まで私の車で行く




『そういえば太宰さんたちは鏡花ちゃん、どうするんだろうね』


「どうって……そういえば探偵社員である鏡花ちゃんはなんで未だ囚われているんですか?」





敦くんは元災害指定猛獣。その自分が見逃されているのに鏡花ちゃんが囚われているのは何かがおかしいと気づいたんだろう。





「……実はまだ鏡花ちゃんは探偵社員じゃないンだ。」


「え…鏡花ちゃんが探偵社員じゃない!?」




敦くんは谷崎くんの云った言葉を繰り返す




「いや正確には“まだ”って事なンだけど……探偵社の調査員は代々“入社試験”があるンだ。それを通過(パス)しないと正式な社員と認められない。……敦君の時にもあったろ?」




因みに事務員である私はない!

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作者名:ペネロッペ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Mayakaahah/  
作成日時:2022年10月5日 11時

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