武装探偵社の有能事務員さん【文スト】 (ページ30)

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私たちはポートマフィアを待つ為、路地裏にいる

『……太宰さんは判りますか？……何故私が………』

「さぁ。私にも判らない。」

太宰さんは絶対判っている口調で“判らない”と云う。

……判っている癖に………

「……そろそろ来るよ」

その言葉に私は背筋をピンと伸ばす

横を見た時には草陰にマフィアが居て、太宰さんは駆け寄る

「ようこそ、首領。」

その言葉にマフィア首領はニコッと笑う

「四年振りだねぇ。私が購ってあげた外套(コート)はまだ使っているかい？」

「もちろん＿＿＿＿＿焼きました。」

冷たい雰囲気に緊張するのがわかる

「ポートマフィア首領、森鷗外殿。」

社長が此方に歩み寄る

「武装探偵社社長、福沢諭吉殿。」

双方が歩み寄り、周囲に電気のような緊張の空気がピリピリと流れる

「竟にこの時が来たな。」

「探偵社とポートマフィア。横浜の二大組織の長(トップ)がこうして密会していると知ったら、政府上層部は泡を吹くでしょうねぇ。」

………当たり前ですよ。政府上層部が可哀想です。

「単刀直入に云おう。探偵社の或る新人が、貴君らポートマフィアとの“同盟”を具申した。」

「ほう」

「…私は反対した。非合法組織との共同戦線など、社の指針に反する。………だがそれは、マフィアに何度も撃たれ、斬られ、拐かされた者から為された提案だ。言葉の重みが違う。」

脳裏に敦くんの顔がよぎる

「……故に、組織の長として耳を傾けざるを得なかった。」

「お互い苦労の絶えん立場ですな。」

ポートマフィア首領は顎を撫でながらにこりと微笑う

「結論を云う。同盟はならずとも、一時的な停戦(・・・・・・)を申し入れたい。」

その言葉にポートマフィア首領は目を見開き＿＿＿＿＿その目を細める