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ナオミちゃんや春野さんの息切れの音が聞こえるようになった頃、漸く麓に辿り着いた。
「列車……!あれですわ!」
もうすぐで列車だ____その時だった。
視界の端で、木の根がボコッと動くのがわかった
「きゃっ!」
『春野さん!』
座り込んだ春野さんの足下を見ると、足に絡まる木の根が見えた
もう見つかった!?
ザザザザザ___
木が揺れ動いた次の瞬間___
私とナオミちゃんは木に巻きつかれた
『「!!」』
そして、十秒は過ぎた。
ボーーボーーー
列車の汽笛が鳴る。このままでは……!
ボトッ!
急に締め付けていた木の動きが止まり、私たちは難なく抜け出せる
谷崎くんと、国木田さんのお陰だ。
「香里さん!春野さん!行きますわよ!」
私たちは列車へと走る
ボォオォーーーッボォオォオーーーーッ
列車は汽笛と共に走り出す
『!』
ナオミちゃんが手を伸ばし、列車に掴まる
「手を掴んで下さい!」
ナオミちゃんが私に手を差し出す
ちらりと後ろを見る
春野さんは息切れしていてもう走れないだろう。
私は春野さんの腰に手を回し、ナオミちゃんの方へ押し出す
「香里さん!?」
そして、なんとか春野さんはナオミちゃんの手を__握る。
『私は次の電車で行く!』
「駅で待ってますわ!」
「香里ちゃん、ありがとう!!」
列車は遠く、過ぎ去っていった
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作者名:ペネロッペ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Mayakaahah/
作成日時:2022年10月5日 11時