himeyuri. 2 (ページ46)

今日:7 hit、昨日:21 hit、合計:215,053 hit

. ページ46

Aさんの昔の話を少し挟みます
.

日本のド田舎の山の中で育ったわたし
家は裕福でも貧乏でもなくごく普通の家庭だったし確かに苦労などせず甘やかされて成長していったかもしれない。

家の周りは田んぼと畑、森、そして川

小さい頃は裸足で田んぼを駆け回っては虫を捕まえたり、川に入って魚を採ったりしたものだ

もちろんこんな田舎だから学校も1学年に1クラス
クラスの人数は30人程度だった

しかし、とある一件を気に、いつからか私の居場所は学校になくなり、友達も一人も居なくなった

それは、私が一人のクラスメイトの物を盗んだと言いがかりを付けられ先生には疑わられ、周りのクラスメイトも先輩も殆どがその子の味方につき、私はその日から一人ぼっちになってしまった。

もちろんそれは嘘だったことが明らかになり謝りにも来たが私の周りから友達が居なくなった事実は変わりなく、行動するのも一人、休み時間も一人で本を読んだり、なによりペア活動が地獄で大嫌いだった。誰も自分とは組んでくれないし周りの視線に俯くばかりの生活

でも家に帰るとだいすきな家族がいて、誰よりも心配してくれるお母さんとお父さんいて、私を笑顔にしてくれる兄妹がいたから私は3年間ほとんど休まず学校生活を送れた

もちろん辛いことの方が多くて記憶の中から消したいことでもあるし一度だけ、ほんとに一回だけ、学校に行くのが辛くて、それを親に言えなくて、本気で死んでしまおうかと遺書まで書いたことがあった。でも家族の顔を思い出すと出来なかった

だから、私がここに居るのは'' あの頃''の自分がいて逃げることじゃなく立ち向かう勇気を家族が教えてくれたから

それからというものの、高校では友達もでき楽しく過ごしそろそろ卒業後の進路に向かって勉強しなければいけない時に、Produce X 101 のオーディションを見つけた

ここなら「自分を変えれる」そう思った私はダンスも歌も初心者のままただその意気込みだけでオーディションを受け、合格し無所属枠としてシノオンニとオーディションに参加した。

……そんな出来事をここに居る誰も知るよしもなく、思い出していたら頭がガンガンし、少し休憩しようと席を立った瞬間

クラッときたのと床に倒れる衝撃をうけたのは同時かのように思えた

遠くでエリオンニの叫ぶ声が聞こえたのを最後にそのまま意識が遠のいた

.