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俺が向かったのは、この街で一番古い酒場。
あそこは街の全ての情報が行き来するから、
マスターならもしかしたら何か…
店に入ると、それまでガヤガヤと騒がしかった客達が
俺の姿を確認するなり、しんと静まり返った。
所々からひそひそと
可哀想に…だなんて哀れむような声が聞こえる。
やっぱみんなは知ってるんだな…
店主「北斗…。」
北「マスター、どんな小さなことでもいい。
知ってることがあるなら教えて。」
店の奥にあるカウンターに手をついてすがる俺に、
ガキの頃から俺らを知ってるマスターは眉を寄せて何か苦しそうに目を逸らして言い淀む。
北「お願いします。噂でもなんでもいい…。
俺、何も知らないんだ。Aにいったい何が起きたの…？」
深々と頭を下げる俺の横に
バン、と行儀悪く座った酒臭い酔っぱらいが、ガハガハと大きな声で笑った。
「あの子は売られてったんだよ！」
北「っ！？」
店主「なんてこと言うんだ…。」
「本当のことだろう？」
売られて行った…？
どういうこと？
店主「違うんだ、北斗。Aちゃんはね…、
王子様に見初められたんだよ。」
北「は…？」
どういうこと…？
なんでAが？
王子と接触なんかあるはずないのに…
「何が違うもんか！あの子の親は金で自分の娘を売っちまったのさ！
あいつらじゃあ一生お目にかかれないような大金だったそうだ！」
マスターの制止を振り切って、
この酔っぱらいは一連の出来事をこと細かく教えてくれた。
俺の知らない間に城から遣いが来てた
俺がぐーすか寝てる間に他のやつとの結婚を決めて
俺がいない間に、Aは街を出て行ってしまった
「まあ漁師のせがれよりも王子に嫁がせたいっつー親心くらいはあったかもしれねぇがな。」
店主「もうやめてやってくれないか、」
「知りたがってたんだろ？なら本当のこと教えてやんのが優しさってもんだ。
心配するな、二度と会えないわけじゃねぇさ。
あの子は次期国王の妻になるんだ。
城下へ行けば式典で顔くらいは見られるんじゃねぇか？
こーんな豆粒みてぇな大きさかもしれねぇけどな！」
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momo(プロフ) - 綾鷹さんお久しぶりです。久々に読み返しています。まだ途中までしか読めていませんが全てを知った上で読み返すと、自然と涙が溢れてきます。きょもの気持ちも、北斗の気持ちも、主人公の気持ちも、カヤの気持ちも。全て知った上で読むとさらに切ないです。ずっと大好き (2022年4月30日 20時) (
レス) @page16 id: 7c710f6426 (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - いつもご感想ありがとうございます、とてもとても嬉しいです！カヤちゃんのことも好きになってもらえてよかったですー！がんばります！ (2019年5月6日 6時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
momo - なんだか、このお話を読んでいて、使用人のカヤの事を思うと胸が苦しくなって面白いです！ このお話やっぱり大好きで、目が離せません！頑張ってください。 (2019年5月5日 10時) (レス) id: cbb25d61fe (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - momoさん» おわわ、恐縮です…！ありがとうございます！これからの展開も好きになって頂けるよう祈りつつ頑張ります！ (2019年5月1日 20時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - なゆさん» いつもコメントありがとうございます、とても嬉しいです。このお話の京本くんは一途すぎるくらいに書きたいと思っていたのでそう捉えて頂けてよかったです！ (2019年5月1日 20時) (レス) id: f953e13246 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綾鷹
| 作成日時：2019年4月15日 7時
