貧血 ページ1
小さい頃から体が弱かったAは、自分の担当看護師だった小山さんに憧れて看護師になった。
そして俺は、そんなAを守るために医者になった。
だけと、Aはそんな俺の気持ちなど知ったことではないようだ。
親の心子知らずというが、あれは夫婦の間にも当てはまる。
体が弱いくせに常にフルスロットルなAは、仕事中に倒れたらしく、連絡を受けた俺はこうして急ぎ足でAが寝ているという病室に向かっている。
病室のドアを開ければ、Aはビクッと肩を震わせ、先輩として付いてくれていた小山さんは苦笑いした。
「A、貴久くん来たからってビビり過ぎ。笑」
「だって怒ってるもん…」
目を合わさずにAが答える。
「当たり前でしょ。
何回言っても自分の体なんてお構いなしに無理して。」
診察のため近づくと、Aがポケットの中から飴を取り出した。
「シゲアキ印の飴玉！」
そして、それを俺の口の中に突っ込んだ。
袋から出した後ならいいが、袋のまま口の中に入れるのはただの嫌がらせだ。
そもそも、シゲアキ印の飴玉ってなんだよ。
小山さんも、笑ってんじゃねーよ。
口の中でカシャカシャいう小さな袋を取り出すと、俺は仕返しにAのおでこにデコピンをした。
「痛いって！馬鹿力！」
この状況でそんなことを言えるAの頭がどうなってるのか、一度本気で調べてみたい。
「あいかわらず好きだね、ドラちゃん。
貴久くん、今のわかった？」
「まったくサッパリか1ミリも。」
Aは未だに家で録画したアニメを見てるが、俺はちゃんと見たことがない。
「説明するから、青筋引っ込めようか。
ドラちゃんのひみつ道具で、ティラノサウルスでも手懐けられる団子があるでしょ？
あれが元ネタ。
その飴、さっき採血したときにシゲ先生から貰ったの。」
シゲアキ先生は、俺の先輩でAの主治医だ。
俺には主治医ではなく夫としていて欲しいというAの希望で、俺が医者になった今でもそのまま主治医をしてもらっている。
「人をティラノと同等に扱うんじゃねぇ。
採血結果、きましたか？」
「そろそろだと思うけどね、
お、ちょうどシゲ先生きたよ。」
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りみ - お話とてもおもしろいです！次のお話も楽しみにしています！！ (2019年1月24日 14時) (
レス) id: 8375485de7 (このIDを非表示/違反報告)
てい - 楽しく読ませていただいてます (2019年1月12日 22時) (レス) id: 70fd39881e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんかく | 作成日時：2019年1月10日 15時
