僕らの寮部屋はストーリーと恋で詰まってます (ページ32)

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第31話ページ32

千秋side

頭がぼうっとする。
今の僕は相当弱っているようだ。
普段は考えもしないことなのに、杏に甘えたい、休みたいだなんて……。

「千秋、明日のためにも早く寝た方がいいよ」

「大丈夫……」

もう少し、もう少し進めたい。

熱のせいか、ぼうっとしてるのにどんどんアイデアだけは浮かんで、まだ止まりたくない。

編集社にももっと完成系に近づいたものを持って行きたい。

「ッ……！千秋！」

小説を書き進めていると、杏に手を強引に掴まれ、ベッドに押し倒された。

「あ、杏……」

「言うこと聞いて！！千秋、自分では気付いてないかもしれないけど、手、震えてるよ？そんな状態で書いた小説……僕は見たくない！」

いつも以上に強気な態度の杏。

心配掛けちゃったな……。

「ごめん、今日は少し休むよ」

「分かったならいいよ」

そう言い残し、部屋を立ち去った杏。

掴まれていた手には杏の残した痕だけがあった。