涙は越えていこう。 3 (ページ9)

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望side

ほんっま最悪……。

「のんちゃん？俺だよ俺、慎太郎。中入ってもいーい？」

「ん。」

慎太郎の声が聞こえてドアを開ければ、温かい具沢山の野菜スープとバゲットを少し切ったのをお盆に持った慎太郎が来た。

慎太郎「なぁーに照史くんと喧嘩してんのよ、笑ジェシーと流星、びっくりしちゃったみたいよ。」

慎太郎「あ、そうそうこれ北斗が作ってくれたの。多分、のんちゃんご飯別でしょって。」

慎太郎「今日の夕飯はスープとバゲットと、チキンステーキなんだって。まだ、チキン焼けてないから、またあとね。」

俺はただただ沈黙を貫いた。慎太郎がたくさん話していてくれて、ただ互いが苦手な沈黙の時間を作らないようにしてくれた。

望「たろ、」

慎太郎「ん？どした、」

望「俺、どうかしちゃったみたいや。」

慎太郎「そだねぇ……、俺らの話聞いてからだねぇ？多分、重たい話をしすぎて心が疲れちゃったんだよ。だから、ちょっと休憩ね？お仕事も、嫌な事考えるのも。」

少し楽観的な感じで話すたろの肩にそっとでこを寄せた。
子供たちがいないから思う存分泣いた。

慎太郎「無理しすぎなんだって、笑もー、ご飯冷めちゃうよ？」

望「ありがと……。」

それから俺はパンくずと涙をポロポロ零しながら夕飯のスープとバゲットを食べた。ただたろはそっと俺が床にこぼしたパンくずを拾ってお盆の上に置きながら微笑んでいるだけ。

何だか、アホなことを考えてたんやなぁって少し頬が緩んだ。

慎太郎「おっ、元気出てきたじゃん。んー、なら照史くんに園長命令解除してもらわなきゃね？暫く図書館の管理、きょもがやってていい加減なところだらけだから、それ片付けてよ。てかいるんでしょ？」

照史くん。

そう言ってベッドから席を外したかと思えば部屋のドアを開けた。

照史「あ、望……。」

望「照史、？」

慎太郎「いや、どっかの入れ替わった系アニメの世界線じゃないんだから笑ほら、ちゃんと話し合いなよ〜。」

バツが悪そうにドアの前に佇んでいる照史がいました。
俺も驚いてもうてお互いギクシャクした様子に。

そんな俺と彼を他所にたろは「北斗にお盆返してくる〜」と部屋を出ていった。

さて、これからどうしようか。