ユウガオ【濱田】

Vain Love３２ ページ33

崇裕さんが、お風呂に入る前に淹れてくれたココア。







マグカップの中を覗いて思う。









今の私の心も、こんな色をしているのだろうか…。









コップの底の見えない
濁った茶色。









ねぇ、望。
貴方は女の人と会ってるとき、
どんなことを考えているの…？









少しでも、私のことを考えてくれてる？
私のことをよく思ってくれてる……？









どれだけ崇裕さんと居ても、
私の心は、昔の望と居た頃よりは満たされない。









はぁ……、
なに考えてるんだか。









これは私が選んだ末路なのに。









崇裕｢Aさ〜ん。｣









『………、

…あ、崇裕さん。』









崇裕｢なんか考え事ですか？
難しい顔してはりましたけど。｣









どうやら、ひどい顔をしていたみたい。









崇裕｢まぁ…、考えることも色々ありますよね。｣









そう言って、苦笑いをする崇裕さん。









その顔を見て、崇裕さんが何を思ってるかが分かった。









『ご、ごめんなさい、！』









崇裕｢何も謝ることないっすよ。｣









そう言いつつも、私からはどうしても、
顔に浮かべてるのは歪んだ笑顔に見える。









崇裕｢まぁ、実際はちゃんと顔見えないです。
僕、目悪くって。今、コンタクト外してるんで眼鏡かけないと…。｣









そう言って、自室に眼鏡を取りに行ってしまった…。









崇裕さん、本当はね、
貴方と居るときだけは貴方だけを考えていたいんです。




だけど、弱い私は望を忘れられずに居るんです。

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