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十一話目じゃ! ページ14

「あぁ、今日の夜は眠れなさそうだな」


そう呟いた時だった。


僕の携帯から電話が鳴り始めた。


「誰からだろう?」


僕は携帯を取って着信画面を見つめた。


着信画面に映っていたのは


「え?りぶさん?」


りぶさんからの電話だった。僕は急いで電話に出る。


「もしもし、りぶさん?お久しぶりです!」


り「まふくんお久しぶりです」


「こんな急にどうしたんですか?」


僕は、気になっていたことを単刀直入に訊いた。


り「それがね・・・」


そう言うと、りぶさんの声がいきなり聞こえなくなってしまった。


「おーい、りぶさん?・・どうしちゃったんだろ」


りぶさんは携帯から離れたのだろうか。


?「ほ・・に・・・・か!?」


何かりぶさんの方で、女の人らしき高い声が薄く聞こえてきた。


確か、りぶさんは一人暮らしだったはず・・


もしかして伝えたいことは、彼女ができた的なそういうおめでたい感じの事だろうか。


もしそうだったとすれば、彼女ができた事が無い僕に対してのただの嫌味だろう。


あぁ、僕とは世界が違う人なんだな、りぶさんって。


僕にはできない彼女を創れて。


・・僕がそんな卑屈を考えていた時だった。


?「真冬ー聞こえておるかー?聞こえてたら返事をしてくれー!」


一番聞きたくて、それでいて会いたい声が電話から聞こえてきた。


「もしかしなくても、Aだよ・・ね・・?」


貴「そうじゃよー。ごめんな真冬。迷惑を掛けてしまって」


「『そうじゃよー』じゃないよ・・ほんと、どれだけ心配したと思ってんの・・」


僕は一気に肩の力が抜けて、思わずその場に座り込んでしまった。


「でも、無事でよかった・・」


貴「すまん・・あ、今日中に真冬の家に帰るからなー」


「うん、分かった。しっかり迷子にならないように帰ってきてよ?」


貴「あぁ、分かっておる。もう、代わるぞ?」


「はーい」


り「どうだった?彼女との久しぶりの会話」


「そりゃ、安心しましたよ。というか、一ついいですか?」


り「どうしたの?まふくん」


「りぶさんはAのこと見える人間なんですね」


り「まぁね。それより、僕はまふくんの方が見えることに驚きだよ」


「それって、どういう意味ですか」


り「ヒュ〜ヒュ〜♪」


「答えたくないからって、ごまかさないでください!」


とにかく、Aが無事で良かった。・・今夜はゆっくり眠れそうだ


早く戻って声が聞きたいな。

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作者名:胡麻さん | 作成日時:2017年3月14日 23時

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