□生徒会長と寮長 ページ6
『では、抜かり無く頼む。』
そう締めくくってAは会議室を急足で後にした。
ディアソムニアに向かう為である。
バタン、と扉が閉められると同時に、アズールが胸を撫で下ろした。
「心臓が潰れるかと思いましたよ」
「どうして伝え忘れたりしたんだい」
リドルは非難するような口調で言いつつも、その目には同情の色が浮かんでいる。
彼もマレウスに会議の伝達をすることがいかに難しいかわかっているからだ。
意図して会議や式典に呼ばないわけではない。それなのに、いつの間にか彼を呼んでいないことを忘れてしまう。
同じディアソムニア寮生であり、マレウスと距離の近いリリアでも彼を呼ぶのをうっかり忘れるくらいだ。
「捕まらなかったんですよ、マレウスさんはおろかディアソムニア寮生すら」
「液晶越しにも冷たい空気が伝わってきましたわ〜。流石生徒会長サマ、怖っ」
うまくいけば生徒会長に恩を売れると思って立候補したアズールだが、今後一切マレウスを呼びに行くことはないだろう。
そもそも、協調性や友愛の心が著しく欠如しているここNRCで、打算や下心なしの助け合いなんてあるわけがないのだ。
「チッ、気に入らねぇ。王様気取りかよ」
「実際、王様みたいなものでしょ。闇の鏡に選ばれた「歴代最高」の生徒会長サマなんだから。」
NRCでは生徒会長というものは代々闇の鏡によってえらばれてきた。
その判断基準は一切明かされておらず、生徒会長となる人物の人格や性質は様々。
実際、Aの前任者は朗らかで小動物を連想させる人物だったという。
そんな多種多様な歴代生徒会長のなかでも「最高」だと鏡があまりにも褒めちぎるものだから、Aが困り果てていたのがちょうど二年前の本日である。
「魔力量はマレウスくらいはあるんだろ？やっぱすごいよな〜」
相変わらず、何を基準とした「最高」かは明かされていないが彼はその魔力量の多さから選出されたのでは、という噂が絶えない。
輝石の国出身の一般人が、あのマレウス・ドラコニアと同等の魔力量を有している。一般生徒におそれられるには十分すぎる理由だった。
無論、寮長らも怖がりこそしないもののAと積極的にかかわろうというものはいなかった。
Aも、そういうものだと諦めていた。
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桔梗(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます！大変励みになります。これからも本作をどうぞよろしくお願いいたします。 (2月17日 21時) (
レス) id: 8a1a5efa6e (このIDを非表示/違反報告)
あおい - コメント失礼します！とても面白いです！！素敵な作品をありがとうございます！お体に気をつけて更新頑張ってください！ (2月16日 20時) (レス) id: 63ae223e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桔梗 | 作成日時：2024年2月12日 23時
