コンビネーション【短編集】 (ページ34)

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プリンスの後悔と成長。②【柳田】ページ34

ー体育館。

誰もいない体育館。
結構俺も落ち込んでる。
自分で言い出した事なのに。

からかってやろうって、
ただそれだけの想いでやったこと。
だけど、
こんなに後悔するなんて。

ぼーっとただ座っているだけの俺。

すると、体育館の入り口に人の気配を感じて
俺は即座に振り返る。

柳「…なにしてんの、」

そこには、Aの姿があった。

「…マサが寮に帰ってきてないって聞いたから」

柳「…そっか」

「体育館の外で待ってたんだけど、なかなか来る気配なかったから…ここにいるかなと思って」

柳「外で…待ってたの？」

「う、うん…」

バカか。今11月の終わりだぞ…
ましてやこんな夜遅くに…

Aを見ると頬は赤く染まっている。

着込んではいるけど、
絶対寒かったんだろうな。

柳「…こっち来い」

「…」

素直に俺の目の前に来るA。

「あ、あの…あたしマサになんかしたかなっ…？ごめん…全然心当たりがなくてっ…」

柳「っ、」

Aが俯いた瞬間、
雫が床に落ちたのを見た。

俺は、ただのからかいで
好きな女を泣かせてしまった。

そう思ったのと同時に、
俺はAを強く抱き寄せた。

「ちょ、マサっ、どーしたのっ？」

柳「…からかってやろうと思ってさ、わざと冷たくしたんだよね。でも後からすげー後悔してさ。なかなか言い出せなくて。寮に帰る気にもなれなくて。…ほんと、ごめん」

「…」

柳「…泣かせたりして、最悪だよな」

Aから離れた俺は、自分のガキさが
あまりにも情けなくなってしまった。

すると、

柳「…っ、」

Aは俺に抱きついてきた。

「よかった…怒らせちゃってたのかと思って…もうマサと話せないのかなって…」

柳「ほんとに…ごめん」

「いいよ、そんなの」

俺のバカな考えで、
大好きな人を傷つけたと
絶望していた。

でも、大好きな人は
俺より遥かに大人で、
全て理解してくれていたように感じた。

「マサー！もしかしてあたしに嫌われたって思ったの？マサから謝るなんて！」

柳「…うるせーよ、バカ」

この俺が謝るなんてありえないのに。

結局、どんな君も愛しいんだ。