検索窓
今日:36 hit、昨日:2 hit、合計:491,754 hit

国木田の憂鬱 ページ48

俺の名は国木田独歩。

今俺は大変、憂鬱である。

理由は先日入社試験に合格した太宰という男のせいである。

此奴は俺の予定をことごとく乱す。

この前なんて仕事の最中に川に飛び込んだり、道行く女性を口説くわ散々であった。

しかし、社長から教育係に命じられている以上やめるわけにはいかない。

それにAさんからの推薦でもあるのだから。

だが、ため息の一つ吐きたくなるのが現実である。

「はぁ」

『今日もいい溜息だねぇ、国木田君』

横の方から忌々しい声が聞こえた。

「黙れ、主に貴様せいだ、この唐変木」

俺は苦い顔をしながら、横を向いた。

横にはニコニコと楽しそうに笑う太宰が居た。

『ふふふ、今日はそんな悩める国木田君に朗報だよ!』

「あぁ?」

『なんと!今日は国木田君が幸せになれそうな新しい名前を考えてあげたよ!』

「貴様!仕事をしろ!仕事を!」

『先ずはクニエモン』

「貴様ぁぁぁぁ!!」

俺は後ろから太宰の両腕を掴み、背中を足で押した。

『次はくたくた君』

「いい加減にしろ!」

俺は更に足の力を強めた。

『あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"、じゃあ、最後、独歩っぽ』

俺は苦い顔をした。

『おや、珍しく怒らないじゃないか、そんなにこの名前が気に入ったのかい?』

太宰が珍しそうな声をあげた。

「そんなわけあるか!今のは前にも同じことを言われたことがあるだけだ!」

『それって、私が来る前に出張に行ったていう先輩だっけ?』

「ああ、そうだ」

『へぇー如何やら似た者同士なのかもしれないねぇ』

「あぁ?そんなわけ・・・」

いや、思えば太宰に会った時からAさんに似ていると思っていた。

最初は容姿だけかと思ったが、性格まで二人は少し似ていた。

そんな二人が仲良くなったら・・・・・か、考えるのは止そう。

考えるだけでも恐ろしい。


「ないだろう、あの人はお前とは違って、一応仕事はするからな」

『ふーん、その人の名前は?』

「名前はな・・・」

プルルルルルルル

丁度遮るタイミングで電話が鳴った。


俺は太宰から手を放した。

『いっで!』

太宰が落ちる音がしたが無視。






『ふふふふ、早く会ってみたいねぇその人と』

太宰は仰向けになりながら呟いた。

「おい太宰、依頼だ、行くぞ」

『へーい』


こうして二人は依頼をこなしにヨコハマの街へくりだしていった。

その先輩が実の妹であることは太宰は知らない。

その国木田もまたそのことは知らない。

太宰治誕生日記念(黒の時代)→←後日談



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (676 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1161人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ラリー明日は暇(プロフ) - はずりんさん» 有り難うございます!是非、見てくださいね('ω')ノ (2018年6月28日 21時) (レス) id: c83a6482c4 (このIDを非表示/違反報告)
ラリー明日は暇(プロフ) - Kaiさん» 有り難うございます!(*^▽^*) (2018年6月28日 21時) (レス) id: c83a6482c4 (このIDを非表示/違反報告)
はずりん - 続編いかれるんですね!おめでとうございます!! この作品、すごい好きなので楽しみにしてますね!頑張ってください! (2018年6月27日 21時) (レス) id: 1750dd915a (このIDを非表示/違反報告)
Kai(プロフ) - とても面白いです (2018年6月27日 19時) (レス) id: 1851ef0a10 (このIDを非表示/違反報告)
ラリー明日は暇(プロフ) - 晴夏 and Siki and Leonさん» 応援ありがとうございます!続編はもうそろそろ出ますんで。 (2018年6月27日 18時) (レス) id: 605632bffc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ラリー明日暇だってよ x他1人 | 作成日時:2018年4月3日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。