【スプレーマムの花束を貴方に2】 (ページ11)

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57輪目ページ11

「ふぅ。」
「お疲れ、亜麻野。」
「あ、赤司くん。お疲れ様。」
居残り練習後のモップがけを終えて息をついていると、赤司くんに声をかけられる。

「どうかした？」
「…オレは、亜麻野のことを尊敬しているよ。」
急な賛辞に驚きで目を見開いた。

「え！き、急にどうしたの？」
「亜麻野は真面目だし、誠実だ。だからこそ皆も亜麻野を慕っている。オレはそんな君を友人として、マネージャーとして尊敬しているよ。」

「…もしかして、聞いてた？」
「偶然、耳に入ってね。気にするなとは言わないが、オレの気持ちを知っておいてほしかったんだ。」

黄瀬くんとの話を聞かれていたらしい。こうやって励ましに来てくれるところは彼らしい優しさだ。

「そっか…。ありがとう。私も赤司くんのこういう優しいところ、大好きだし、尊敬してるよ。」
「ふふ、嬉しいな。」

嬉しくて笑顔でそう言うと、彼は優しく微笑んでいた。

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黄瀬くんが1軍に合流してから数日が経った。
どうやら彼は黒子くんの実力を認めたらしく、以前とは打って変わった態度を見せていた。レギュラー陣とも交流を深めている。良い兆候だ。

…しかし、困ったことが1つ。

それは、
「スタメンの座を賭けて、勝負してくれって言ったんスよ。」
灰崎くんに、勝負を挑むことになったことだ。

別に勝負を挑むことは問題ではない。むしろハングリー精神は好ましい。しかし、相手が悪いのだ。

「ついこないだ入ったヤツが寝ぼけてんじゃねぇよ。そもそも練習中だって俺に勝てねぇのに、どういうつもりだ？」
余裕そうに話す灰崎くん。

「他の4人ならまだしも、祥吾くんならそろそろいけるっしょ。」
自信満々の黄瀬くん。

「はっ、ナメられたもんだぜ。なぁ、ミケちゃん。」
「灰崎くん、私を巻き込まないでね。あと、頭に顎を乗せないでね。」
私の後ろから腕を回してそう話す灰崎くん。私の頭は顎おきじゃないんだけど…。

こういうことがある度に彼は私に絡んでくる。慣れてはきたが、依然として面倒くさい。

「練習なんてテキトーに流してるに決まってんだろ。いいぜ…じゃあちょっと本気で相手してやるよ。」
「練習は本気で取り組もうね。あと、腕を離してね、灰崎くん。」
遠い目をしながらツッコむ。

こうして、2人の1on1が始まった。