46輪目 ページ49
赤司くんが黒子くんにアドバイスをしてから約3ヶ月が経った今日、1軍の練習の業務をしていると聞き慣れた声がした。
「亜麻野さん。」振り向くと黒子くんが立っていた。
「黒子くん。あ、もしかして…。」
「はい。赤司くんを呼んでもらえますか?」
「うん!」
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あの後、赤司くんを呼びに行くと黒子くんをテストすることになった。どうやら、2軍対3軍の試合形式で見るらしい。私もお願いして、同席させてもらう。
試合が始まると、その光景に私は驚きで目を見開いた。パスが急に方向転換したのだ。いや、黒子くんが影の薄さを利用して弾いたのだ。
周りを見ると、キャプテンもコーチも驚いていた。
すると、
「…ミスディレクション。」と赤司くんが呟いた。
ミスディレクションって、手品とかで使う技術だったような…。そう考えていると、
「彼はこの技術をバスケに応用している。例えばカットを切る直前、目線や仕草でマークマンの目を誘導する。結果、元の存在感の薄さと相まって彼はコート上からあたかも幻のように姿を消す。」と彼は説明した。
姿を消す新しい"幻の6人目"。
曲がるパスを見つめながら、私は黒子くんのプレーにワクワクしていた。本当に凄い。
「嬉しそうだね、亜麻野。」
「黒子くんの努力が認められたんだもん、嬉しくもなるよ。…それに、わくわくもしてるんだ。」
私がそう言うと、彼は首をかしげた。
「わくわく?」
「うん。彼の加入でチームに変化が起きそうで。」
「なるほど。…亜麻野らしいな。」
赤司くんは微笑んでいた。
彼が呟いた言葉は聞こえなかったが、黒子くんのプレーに集中することにする。
そして、この日を境に黒子くんは1軍に合流することになった。
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年6月22日 13時