いやいや、ただのバレー馬鹿。【影山飛雄】 (ページ3)

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「はよー。」

『おはよ。』

クラスの何人かに挨拶をして、私は自分の席につく。

入学式から少し経ち、クラスの雰囲気や人柄も分かってくるこの頃。

『おはよ。』

私はいつものように後ろの席の影山くんにも声をかけた。

「はよ。」

相変わらずのぶっきらぼう具合だが、嫌われている訳ではないことは分かっている。

なんで分かるかって？

だって影山くん。

本当に嫌いなものを見てる時の顔、眉間に皺がすごいもの。

特に小テストの時とか。

私は彼の笑っている姿を見た事がない。

口数も多い方ではないが、そんな彼は女子から密かに人気があるらしい。

　

…らしい、と言うのは最近できた友人からその話を聞いたからだ。

今みたいな朝の挨拶、他にも必要最低限の会話。

その全てを逐一聞かれる事が多かった。

「今何話したの」「影山くんって何が好きなんだろう」と。

既に机にうつ伏せになった彼の頭部をチラリと眺めた。

…まぁついこの間まで中学生だった私たちとって顔と身長、

それだけでも十分恋心とは芽生えるらしい。

残念ながら、私にとってはまだまだ縁のない話だ。

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