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「嫌いだから、だよ！！」
ずっと黙っていた人形が、ようやく口を開く。
すると突如素早く振り返ったノエルが、私のマフラーを力任せに引っ張った。バランスを崩し、人形の方へ体の重心が傾く。とっさに左手を地面についてバランスを保った。
してやられた！！
ノエルにマフラーを奪われそうになったため、私もマフラーを掴かみ返して体を後ろへ傾ける。
もうほとんど、力がほぼ互角のノエルと私の取っ組み合いの喧嘩だ。
『離して…！』
「うるさい！！だいたい何でテメーが、父さんの…」
「ノエルさん、もうやめてください！！」
互いに引っ張り合っていると、ハンナキーが間に止めに入る。彼女のおかげでマフラーから手を離した人形は、舌打ちをして一歩下がる。
私はその間に、よれたマフラーを首に巻いたまま綺麗に直した。
「ごめんなさい、Aさん………。」
『大丈夫だよ………それに、ハンナキーは何もしてないじゃん。』
「………………Aさん。
Aさんの“お兄ちゃん”さんは、ずっとアナタの記憶の中にいます。手紙が燃え尽きても、例え記憶の中の顔や声が色褪せても、それでもいるんです。いつまでも。」
何も謝ろうとしないノエルの代わりに、ハンナキーが私に謝り、私を励ましてくれた。
でもこの励ましは、私を気遣った訳じゃない。
ハンナキーは表面上優しく見えても、それは彼女の本質の優しさではない。
色々と私のことに手を焼いてくれてはいるが、それはあくまで命令の元であり、私が彼女の興味の対象であるからだ。
この優しさに依存してはならない。
それでも、大事なことに気づかせてくれたから。
『ありがとう。』
おずおずと頭を下げつつ元の場所に戻るハンナキーと、怒りで大きな音を立てて足を踏みならしながら歩くノエル。
本当に見た目から性格まで正反対というか、何というか………。
元に戻って行く二人を横目に、今度こそしっかりした足取りで立ち上がった。もちろんマッチの箱を握って。
もう大丈夫。
手紙が無くても、遺品が何一つ無くても、お兄ちゃんは消えない。
それに、優しいお兄ちゃんなら理解を示してくれる。
私が今際の際になって、向こう側へ行っても。
地獄で再開したら、きっと私を抱きしめて褒めてくれる。
ああでもやっぱり、お兄ちゃんが地獄に落ちているのは腑に落ちないなぁ。
けれど仕方がない、自ら命を絶つというのはそういうことだ。
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でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます！なんとか5月中に2章完結目指して頑張ります。笑 (2020年5月20日 23時) (
レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 何度もコメントすみません…今日更新多くて嬉しいです…！(( お体にはお気をつけて！これからも楽しみにしています！ (2020年5月20日 22時) (レス) id: cc998c0500 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - しきさん» え？そう言ってくれて嬉しい… (2020年5月16日 7時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
しき(プロフ) - え?表紙好き… (2020年5月16日 1時) (レス) id: 0c957ac632 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます…！ (2020年5月14日 21時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でででででん | 作成日時：2020年4月28日 9時
