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若武said


(何だっけ、あの女の名前)


先ほど作業を開始してから三十分ほど。



熱い視線を送ってくる女子達に気づかない振りをしながら男子達と固まって
作業をしていた若武は、一人黙々と看板作りをしている彼女を見つけた。


普段きっちりと校則どおりに着ている制服は腕まくりをすることで少し着崩れた形になり、
彼女の肩までの黒髪が結い上げられているからか、普段とは全く違う印象があった。



(確率女、っていう通称しか知らねえな・・・話したこともない)



今まで特に話す機会もなく、ほかの女子のようにあちらから話しかけようとすることもないため、
どうしても彼女のことを知ることができなかった。


それに気づいたのはついこの間、彼女が自分と同じ実行委員に立候補したときだが。


(挨拶くらい、すませておかなきゃマズいよな?)


ふとそう思い何度か話しかけようと試みるものの、それは二つの理由によって阻まれていた。


一つは、自分が彼女の名前を知らないこと。それも名字すら知らないなんてクラスメートとして
あり得ない。男の恥だ。そう考えた若武は彼女に話しかけることをためらってしまうのだ。


二つ目は、彼女がどこか自分を避けていること。思い違いであってほしいが。
というか身に覚えがないのだから何かしたにしても下手に謝るアクションをおこせば
彼女にますます怒りを覚えさせて終わるだろう。



(あーくそ。俺ってこんなに不器用だったか。)


イライラする気持ちをなんとか抑えていると、大道具のグループの男子の一人が
何やらにやにやしてこちらによって来た。


「若武、お前知ってたか?月島さん、俺に気があるっぽいんだぜ」


そう言ってそいつが目を向けたのは、今自分を悩ませている張本人・・・確率女さんだった。


「月島さん・・・」

「なんで俺に気があるのか分かった理由が知りたいか?それはなぁ・・あ、おい若武ッ!」


未だに自慢げに話すクラスメートを放っておき、彼女の方へ足早に近づく。

彼女の目の前にたつと、彼女が顔をゆっくりと上げた。


「・・・・なにか?」

「俺,若武和臣!月島さん、実行委員同士これからよろしく・・・」

と、いつもの笑顔で挨拶をいっているとその言葉は途中で遮られた。



「よろしくしたくありません。私は一人で行動しますので、貴方もどうぞ勝手に動いてください。」

ピシ、とかたまる若武をよそにまた黙々と作業を始める彼女。




この出来事は瞬く間に全校中に広まった。

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和歌青 - 更新して…ほしい (2018年1月9日 4時) (レス) id: 896b7265bd (このIDを非表示/違反報告)
はるはる - 更新頑張って下さいー!更新が待ち遠しいです笑笑 (2017年9月2日 10時) (レス) id: d4621e11e4 (このIDを非表示/違反報告)
スズラン(プロフ) - 薫さん» ありがとうございます〜!最近はあまり顔を出せていませんが・・・・夏休みに宿題が終われば、頑張って更新しようと思います!・・・・・宿題が、終われば・・・・ (2017年7月16日 16時) (レス) id: be22ef58f9 (このIDを非表示/違反報告)
- 更新頑張ってください! (2017年7月16日 15時) (レス) id: 1079d1ffb0 (このIDを非表示/違反報告)
スズラン(プロフ) - 初音さん» ありがとうございます!ほかの作品も読んでいただけたらとても嬉しいです〜(>▽<)これからもよろしくお願いします! (2017年7月12日 14時) (レス) id: be22ef58f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スズラン | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年1月6日 21時

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