メカクシ団の副団長さんはキドの姉６ [カゲプロ]

２２５話 ページ26

長嶋さんの話によると、藤本さんと長嶋さんは幼馴染らしい


今の世間では珍しく、昔から眞鍋家に仕えてきた家の者だとか

どうやら、この宗教には会社の社員たちだけでなく、眞鍋家に仕える者たちもいるらしいな


高校を卒業したと同時に使用人となり、宗教の一因となった

藤本家の者と長嶋家の者


その家の二人は、否が応でも宗教の考え方に染められていった




「それからです。それから、僕はこの宗教を心の中では拒み続けて来ました。でも、藤本は、だんだんと立派な宗教の一因となって――……」

ギュッと口を結ぶ長嶋さんは、藤本さんに好意を抱いているのだろう

恋愛感情かどうかは分からないが、たとえそうじゃなくても、幼馴染として


もし俺はカノやセトがそうなったら、悲しい

歯がゆくて、悔しくて

心が張り裂けそうになるだろう



「でも、信じてるんです。僕は、藤本が本当はこの宗教に疑問を抱いているんじゃないかってこと……！ ……根拠もない、ことなんですけどね……」


自嘲気味に笑う長嶋さんに、俺はなにも返せなかった

残念なことに、藤本さんはどっぷりと宗教に浸かっている

それは、小さな異和感を俺は感じたから、分かった



「……すいません、長い話でしたね。……そういえば、ワカバ様は何故ここに？」

『ああ、まあ散策に』

でもあの扉がひとつだけ明かないんだと言うと、長嶋さんは顔をこわばらせた



『どうしたんだ？』

「……僕、ここの清掃を担当しています。なのであの部屋の鍵も持っているんですが――少し、覚悟が必要ですよ」


覚悟？

どういうことだ？

何に覚悟するんだ？

そのことを聞いても、長嶋さんは見ればわかるの一点張り


自分の口からは言いたくないことなのかもしれない




そして鍵を借りて扉を開ければ、衝撃の光景が目に入った

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