メカクシ団の副団長さんはキドの姉６ [カゲプロ]

２２３話 ページ24

朝飯も食べ終わったし、予定通りこの屋敷内を回ろう

何処から行こうか……

使用人とかがいる所には行きたくないな、変に気を遣ったり遣われたりしたくもないし



『……よし』


すっくと立ち上がり、部屋を出た

別に出て行ってはいけないと言われてはいないが、きょろきょろと周りを見渡す

……誰もいないな


そのまま一歩外へ踏み出した


まずは、庭にでも行ってみよう

そのまま俺は、庭へ出るために足を進めた



――・庭


広い庭だ

木々は生い茂り、できるだけ自然のままに程々に手入れをされている

雑草はない

草花も様々な種類がある


『……綺麗だ』


温かな日差しが庭を包むように輝いている

池も向こうに見えた

どれだけ広いんだ、ここは


俺の昔いた屋敷には庭があったんだろうか

……まあ、そんなこと知るすべなどなかったし、今は完全に無理になっているのだが


歩いていると、石レンガで造られた高い弧塔

高さに比べ細く見えるが、十分に広い部屋がありそうだ

――――優遇されているんだろうな

俺はあいつに“愛されている”にだから



『……待てよ』


４日後の儀式の後

この会社が救われなかったら

不況に陥っている中から助からなかったら


――代わりが用意されたりするんだろうか？



……信じたいな

あの男が、あいつらには手を出さないという約束を守ってくれるのを……


そんな風に歩いていたら、何やら屋敷に比べ小さな建物の前に着いた



もしかして、これが儀式の場か？



教会のようだが……十字架はない

代わりに、花嫁衣装らしきものを着た女が祈るように両手を胸の前で強く握っている像が、正面の二階の窓の上の一枚の銀の板に彫られていた

立体的な女の顔は、泣きそうなような必死に祈っているのか、眉をぎゅっと寄せて八の字に下げている



扉へと導く地面に埋め込まれたレンガ

入口より少し手前にある対におかれた天使の像



扉の前へと数歩歩いた

木製の、まだ新しい扉を押す



ギイィ、ィイ……

大きな音がした


建物の中は、そこらの教会とあまり変わらない


真ん中を開けて、二か所にある沢山の長椅子

絨毯のしかれていない石畳の床の先には、建物の外にあった女と同じものが、今度は立体的に彫られていた

これも同じく銀の彫刻だ



その上には、ステンドグラス

月と星の柄をしていて、そこから洩れる光が女の像を照らしている



左にはパイプオルガン




そのまま、俺は一つ一つ扉を開け始めた

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